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僕の舞台技術学校日誌・番外編
−Power of Stage Art 2010−
卒業公演における舞台美術など・その2

特集・6×6(穴あき)ワゴンの出来るまで

 今回の舞台装置の中で一番思い入れがあったのが、6×6ワゴン、通称「穴あきワゴン」です。
 私が考えてきたプランと最も形が近く、その上にデザイナーさんが絶妙の味をつけてくれました。
 製作にも携わり、たまたまですが、下の方の穴は自分が開けさせていただきました。
 そして、当日も、このワゴンをYさんと一緒に操作したのです。
 この思い出のワゴンの出来るまでを順を追って記していきたいと思います。
 (参考:6×6とは6尺(約1.8m)四方のことで、「ろくろく」と呼びます。おおよそ畳2畳分です。)

12月18日、4枚程度の「あらすじ」を読み、本科脚本部の方のお話を聞きながら、スケッチブックに落書き。この落書きのイメージが結局最後まで残った。 12月26日、初めて演出家(脚本家)を交えてのプラン研究。何か中心になるものが欲しいということで、1本の木を取り囲むイメージで。上手に6×6ワゴン登場。 1月6日、年末年始に試行錯誤した結果を演出家などに発表。(遊郭であるにも関わらず)赤は嫌だと言われるが、基本はこの方向性でよい感じであった。
1月13日、色を赤から薄茶色に変更。結局全部作りなおす。個人的には無機質な感じが作りたかったのだが、演出家は「ぼろ屋」へのこだわりがある様子。 1月20日、みんなのプランをいいとこどりする形でプラン決定。私の「動くワゴン」というアイデアは採用。雰囲気は別の人のプランに合わせることに。 2月2日、最終美術プランの模型が完成。本科の役者さんたちにもご披露。美術コースのみんなが、発案者の想像もつかない、味のあるワゴンを作ってくれた。
2月3日、道具を発注。危険性の高い主要部分は美術会社で製作。劇場備品の平台が使える経済的な設計。ケコミの飾り付けや後ろのパネルは自前で作業。 2月5日、奈落にて穴あきパネル作成中。ここから完成した舞台装置になるには、長い時間と苦労がありました…。(写真は「きょうのピッコロ」から) そして舞台へ。正方形の端正さがありながら、どこか優しい雰囲気のする装置に。「…母さん一番、神様二番やな…」ざらめの印象的なせりふが映えました。

[そして…]
 穴あきワゴンは滅びぬ、何度でもよみがえるさ 4月22日まで待ってやる!!

 …というわけで、本来なら公演が終わった段階で捨てられてしまう運命だったこのワゴン、
 3月20日(土)〜4月22日(木)にピッコロシアター展示室で展示されていました。

ピッコロシアター展示室で開催された「関西 劇空間の創造者たち」という展覧会の一部に舞台技術学校生の作品を展示。入って右側の一画が学校スペース。 美術コース11名の美術プラン模型置き場としてよみがえった6×6ワゴン。ケコミを付け替えたりと、実はかなり手を加えている。本番では使わなかった陰段も活躍。 穴あきパネルも、下を切り取って展示。その精巧さに多くの方が感心してくれました。これだけ使ってもらえれば、大道具として本当に本望です。どうもありがとう。


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