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僕の舞台技術学校日誌
11月(2009.11.1〜27)


21.11.1 本番2回目・バラシ
 泣いても笑っても合同前期発表会はこの日が最後。とはいえ、通し稽古も含めると5〜6回はフルセットでの演技をやっており、役者さんたちも多少疲れ気味。午前中のヌキ稽古は、私が見ていても多少緊迫感に欠けた。演出の先生も同じことを感じたようで、時間がないにもかかわらず、ラストシーンやり直し。と、ここで音響の先生が出てきて、ラストシーンの音響を盛り上げる方向に変えてきた。その音で、役者も照明もが一気に輝きを取り戻し、一転して感動的なラストシーンに。本当にすごいものを見せてもらった。ああいう場面を見ると、スタッフの力ってすごいなと思う。こうして最後の練習が終わった。
 最後の本番は、美術コース女性陣の計らいもあって、モニターで鑑賞。懸案といわれていたシーンも明らかに良い方向に変わっている。舞台には何かが棲んでいるが、さらに千秋楽には更に何かが棲んでいるのであろう。研究科については明らかにみな満足して幕を下ろすことができたようである。
 ラストのカーテンコールのあと、楽屋に向かう廊下で研究科の人たちに、拍手を送りながら「お疲れさまでした」のあいさつ。向こうからは「ありがとうございました」との言葉が。私はこういうシーンが本当に大好き。どんどんテンションが上がってきて、そこから怒涛のバラシへ。「あわてる必要はないから」ということで、確実・丁寧にばらしていく。役者さんたちも途中から参戦。明らかに、仕込み時に比べるとみな動きがよい。本番は人間を成長させるのだなあと、改めて感じる。もちろん自分もこの1〜2週間で変わったとは思うが、自分のことはなかなか気付かないもの。他人を見て気付くことってたくさんある。
 午後5時15分過ぎからバラシ始めて、7時25分にはすっかり元通りの空の中ホールに。ああ、ここに舞台があったんだなあと、つい数時間前の姿を思い起こすのも、また感慨深い。大きなけがもなく、無事、合同前期発表会を終えることができた。
 打ち上げ、その後の2次会といろんな人といろんな話をすることができた。本当に時間が足らなかったし、もっともっと話したかったが、まだまだ中間発表会、あれぐらい余韻を残しておいた方がよいのかもしれない。正直、かなり飲んでおり、だれと何をしゃべったのかあまりちゃんと覚えていないところも…。最近、弱くなったなあ…。
 翌日仕事だったため、後ろ髪を引かれる思いながら、終電で帰宅。研究科の役者さんと帰りが一緒になる。ほぼプロに近い女優さんだが、今回の役に対する思いや自分の中での課題などを、いろいろと素直に語ってくれた。あれだけの人でもまだまだ課題や不満があり、それに向けて努力をしている。自分も自分の課題に向けて頑張っていかないとと、阪急電車の中で決意を新たにしたのでありました。

オープニング 全員に紹介 玉枝発狂
幻想的なオープニング。(写真は全て10/30の通し稽古のもの。) 初めて明らかになる舞台全景。明るめの色のパネルと暗めの色の木箱。 パネルに映し出された影が、シーンの衝撃度を否応なしに高める。
演説後のダンス 岩崎と栄子のシーン ラストシーン
役者の邪魔にならず、それでいて存在感のある舞台構成を意図。 この芝居の時代と空気を象徴する名シーン。パネルにも軽めの照明が。 マリと啓子。そして、劇場に浮かび上がる2つの十字架。

21.11.4 舞台背景画基礎実習T
 まだ中間発表会の余韻もさめやらぬ中の授業。反省会とかやっちゃったりして、もうちょっと余韻を楽しみたいところではあるが…。舞台技術学校は淡々と授業は続く。この日は舞台背景画基礎実習とのこと。講師は、某有名大道具制作会社の相談役の方。中間発表会の状況から見る限り、どうも今年の美術コースにはあまり絵がうまい人はいない模様。さて、どうなることやら。
 服装に関する連絡がなかったことから、特に着替えも持たずに学校へ。と、会場の小ホールに行ったところ、どーんと絵の具のセットが。1日目はプラン&下絵書きぐらいかなと思いきや、プランはあらかじめ先生が作っており(というか、中間発表会のチラシを流用)、まずは看板への一面色塗りから始めるとのこと。やはり着替えを持ってくるべきであった…。女の子の中にはかなりかわいらしい格好できている人も多く(さすが美術コースというべきか、ファッションセンスのある方が多いので)、作業は大変だった模様。
 具体的には、あらかじめ決められた下絵を元に、それを拡大していって看板に仕立て上げる。自分なりに絵を描くのではなく、下絵に忠実に(味の部分も含めて)書く必要があり、なかなかうまくいかない。とはいえ、ペアになった方がある程度この分野の素養がある人(大学での専門がファッション)で、彼女の大活躍もあり、うちのペアが一番早く進む。あまりこういうことはないので、多少得意げなのでありました。

21.11.6 舞台背景画基礎実習U
 2日前の続き。この日はさすがにみんな着替えてきた。
 前回、色塗りをした看板に下絵を描いていったが、それを完成させて、さらに下絵に沿って線を書いていく作業。前回も書いたとおり、うちのペアは最速なため、線を書き始めたのも最初。そのためか、一筆目が大失敗。非常に汚くなってしまった。ある程度は修復可能とのことだが、相方には申し訳ない…。ちなみに、細かい絵を筆で書くのも何年ぶりだろうか。
 さすがにすごいなあと思ったのは、絵具の色づくり。うちのペアは看板の地の色が緑色(黒板のような緑色)なのだが、これに線を描くのは「白+オレンジ」がよいとの先生の指摘。白の絵の具にオレンジの絵の具をほんのちょっと加えてみたのだが、先生いわく「もっと入れろ、もっと入れろ」とのこと。ほとんどオレンジのような色になってしまった。あらあらと思っていたのだが、これを蛍光灯の下で見ると、見事に白い線に見える。専門家には当然のことなのかもしれないが、個人的にはかなりびっくっりしてしまった。
 次回は18日とかなり空くため、学校用の物置(通称はちがく)に看板や絵の具を移動。昔とは違い、みんなそれぞれに役割を果たすため、片づけも早い早い。段取りが良くなっただけでなく、なんとなくのチーム内での役割分担もできてきた。学校後にたむろする場所も決まってきて、中間発表会も終わり、明らかにチームワークができたなあと思ったりするのでありました。

21.11.11 兵庫県立芸術文化センター特別授業 舞台照明の仕事
 この日は県立芸術文化センター2回目の授業で、「照明」のお話。また阪急中ホールを借り切って、舞台さんや照明さんをたくさんたくさん使っての贅沢な授業。県立だからこそできるのだろう。
 実際に舞台に人が立ってもらって、明かりの方向や色によって違いを見せるという実習は、非常に分かりやすかった。1日の流れを照明の方向と色とで表していたのだが、軽くでも前明かりを入れないと確かに見えない。現実には前明かりなんてないのだが、より写実的に見せるにはそういう方法になるとのこと。また、次に光るべき灯体にかるく明かりを入れておく「ぬすみ」というのも、なるほどと思える手法であった。
 ちなみに、この先生は決して流ちょうな説明ではない(ご本人もそう言っておられた)のだが、一言一言がけっこう味があった。「(夜の電信柱やスタンドに明かりが当たることは普通はあり得ないが、それにも光を当ててやらないとそれらしく見えないという話について)本当はあり得ないことのほうが、写実的ということがある」「(明かりというのは常にきれいすぎではいけない)どこか抜けるところを作っておいてやる必要がある」「(照明・映像機器の発展が著しく、定石的な正しいやり方がなくなってきているという話について)だからこそ、自分なりの文法をきちんと作らないといけない」など。現場でたたき上げてきた人だから語れる内容であり、一種の人生観ともいえる。職人というのはまさにこういう方なのであろう。私とは全く違う生き方だが、それはそれで素敵だなと思ってしまったのでありました。

21.11.13 舞台美術の考え方U
 昔から舞台美術に関わってきた大家の先生の授業。9月にもあったのだが、私は仕事の関係で欠席なため、1学期の授業以来。
 先生が実際にこれまで携わってきた舞台のエレベーションを見て、その発想や実態を教えていただいた。紗幕一面に絵を描くのは意外とお金がかかる(50〜100万円)。お金がないのであれば、抽象化・簡略化した舞台で、お客さんの想像力を働かせるようにする必要があるとのこと。たしかに、中間発表会の舞台もかなり抽象的であったが、想像力を働かせるという意味ではかなりいい線に行っていた気がする。終わった後にもう一度台本を読みなおしてみるのも面白いし勉強になるとのお話もあったので、今度一度読み返してみよう。
 いろいろと面白い話があったのだが、個人的に一番共感できたのがやはり「市民劇」のお話。市民劇になると県や市からたくさんのお金が出る話や、会場の制約、さまざまな団体が入り乱れること、市広報での協力依頼、子どもたちがたくさん出てくるなど、つくばのときもまさにその通りであった。ただ、どこも行革で予算が減っているとの話も同じ。ヨーロッパのように、街ぐるみ・地域全体での支援体制にまでなかなかならず、どうしても行政の支援も一過性になってしまいがちなのが現状なのであろう。
 しかし、劇団を続けていくための方策として、会社までつくってしまったというのは、本当にとんでもない…。80代になってからアンコールワットに行かれた話など、そのパワーに圧倒されまくりの2時間でありました。

21.11.14 鑑賞授業 「モスラを待って」
 とても評判が良かったピッコロ劇団の「十八番」の再演。私は初めてなので楽しみにしていた。
 で、確かに分かりやすく、さわやかな劇後感を残す作品であり、同級生には評判良かったのだが…私には多少、不満。というのも、一人ひとりへの愛があふれている脚本であるが故にか、話の焦点がぼけてしまっている気がする。お話の中心が助監督と落ち目女優・千影なのは間違いないのだが、製作助手とメイクさんとの恋愛話やら、キャメラマンに弱く借金を抱えた監督やら、離婚していた録音さんやら、やたら元気なエキストラやら、さまざまな話が並行で進み過ぎ。かといって、完全にそれを並列に扱っているわけでもなく、あくまでも主役は助監督と千影なので、ますます訳がわからない。そして登場人物の中でも、かなり重要な人物である女性キャメラマンをどう描きたかったのか、心にすっと落ちてこなかった。演出の内藤さんもかなり登場人物を愛される方に見えるが、その相乗効果が今回は裏目に出てしまった気がしてならない。宝塚やハリウッド映画、あるいはブロードウェーミュージカルというのは、主役(+数名)とそれ以外では全くと言っていいほど注目度を変えてしまうのだが、ある意味、エンターテイメントとしてはあるべき方策なのかもしれない。
 とはいえ、役者さんたちの雰囲気の作り方はさすがだし、客演の剣幸さんは一種独特なオーラがあるし、大阪の演劇らしいサービス精神も満載だし、集団で走り回るときのエネルギーはすごいし、抑え気味だけど存在感のある舞台セットも必見だし、照明や音響も細かいし、最後のシーンは本当に感激モノだし、見るだけの価値は十二分にある作品。これから岐阜県可児市、東京池袋と回っていくようなので、ぜひその地域の人にも見てもらいたいとも思うのでした。

21.11.14(その2) 公立ホールと舞台技術者
 この土曜日は午後1時から3時までが鑑賞授業で、午後6時40分からが通常の授業。ということで、家に帰ったり、ドトールに行ったり、ジャンカラにいったりと、それぞれ思い思いの時間を過ごした模様。で、6時40分からは座学。舞台技術学校の授業でも3回行く「兵庫県立芸術文化センター」の舞台技術の元締めの方が、公立ホールのあり方や芸術文化センターの概要などを話してくれた。
 実は、仕事柄というか人生経験上というか、私は公立ホールや劇場が大好きであり、非常に楽しい授業であった。多目的ホール→専用ホール→専用複合施設と変わってきたという日本の公立ホールの流れなどは、「なるほど、確かにそうだなあ!」ということばかり。私が関わってきたホールでも、「神戸文化ホール」や「ルナホール」は多目的ホール、「つくばノバホール」「つくばカピオ」は専用ホール、「芸術文化センター」(+あまりかかわっていないけど「三田郷の音ホール」)は専用複合ホールである。具体例を頭で思い浮かべると、話が非常によくわかった。
 そして、指定管理者制度の現状と問題点。私自身、仕事で指定管理施設を持っているため、多かれ少なかれ日常感じていた問題であり、これも「そうそう!」といった感じ。法律論・制度論の話であり、よくわからなそう人も多そうな中、一人テンションが上がっていた。
 もともと舞台技術者の待遇や身分はあまり良くないのだが、指定管理者制度の導入でさらに叩かれる事態も容易に想像できる。財政にいた立場からいえば安くなるのはいいのだが、やはり一定の水準というのはあるのであろう。それをどのあたりで線引きするのか、さらに次の世代をちゃんと育てていけるだけの水準に引くことができるのか、指定管理者の見直しがそろそろ始まりつつあるこの数年が大きな山場ではないかと思ったりもする。同級生でもプロを目指している人は何人かおり、彼らがちゃんと生活していくことができ、更には次の世代に文化が継承されていくような仕組みを作るのも行政の大きな仕事かなとも考えてしまったのでありました。

21.11.18 舞台背景画基礎実習V
 2週間ぐらい間が空いたため、残念ながらとっておいた絵具は全て乾ききってしまっており、没。新たに作り直して再度、絵を描いていく。
 うちのペアは前回まで最速であったため、結構早く完成。と、欲が出て、今度は前回うまくいっていなかった部分をきれいに書き直し。と、いつの間にか他のペアに追い越され、結局できたのは最後…。まあ、一応閉館時間の9時までには片付けも含め終わったので良しとしましょう。
 並べてみると、細かい部分の良し悪しはあるものの、「味」の部分も含めて結構、みんな同じように書けているので改めてびっくり。絵を升目に沿って分解し、それを拡大するという方法は同じものを作る上ではなかなか有効な様子。卒業公演でも絵は書かない気もするものの、今後、別の機会でも役に立ちそうな知識である。
 最後に、絵具の片づけを女性陣の数名が中心となってやってくれていたのだが、だいぶ水は冷たくなっていて、手がすっかり冷え切ってしまっていた。いよいよ本格的な冬がやってきたようである。そして、この冬が緩んでくるころにはもう学校も卒業…。卒業後の道を見つけつつある人もぼちぼち出だして、まだ3カ月あるとはいえ、別れの時がひしひしと近づいてきているのをつい感じてしまったのでありました。

21.11.20 道具製作実習1
 これから3週間は、12月上旬の「軽音楽ライブ実習」のための道具製作。先生はもともと大阪の有名舞台美術会社で大道具をやってこられた方。
 この授業、毎年「いかにお金をかけないで、舞台をそれなりに飾り付けるか」が一つの目標らしい。今年は美術コースが11人はいるので、通常よりはお金をかけてもよいとのことではあるが、やはり百円ショップなどで何か良い飾りを考えてきましょうとのこと。たとえば、紙袋にいろんな詰め物をしてぶら下げる、Tシャツを並べるなど。これまでやってきたことや、今考えているアイデアなどをいろいろと教えていただく。
 お話はかなり脱線気味。とはいえ、業界のお話が多く、その分野に進もうと考えている人にとってはためになるお話であろう。昔、襲名披露では大道具まで多額のご祝儀が配られた話や、大道具・小道具・衣裳・植木・結髪・メイクなどの昔ながらの職域のほかにも、最近は着ぐるみ・人形・模型・料理・フラワーアレンジメントなど新しい職域ができつつあるという話など。
 また、全国各地の農村歌舞伎の舞台にも携わってこられたらしい。そこで気におっしゃっていたのが、「立派すぎる舞台装置に出来の悪い芝居というのは一番良くない。野原にはれんげ草の花が似合う、バラは似合わない。身の程にあった舞台装置が必要なのだ」という話。確かに、装置や箱と、役者や台本とのアンバランスというのは往々にある気がする。ある程度のバラバラはいいスパイスでもあるのだが、いかにも「舞台装置にお金をかけました」というのは確かに見ているほうが恥ずかしい。そのあたりのバランス感覚もプロデューサーやディレクターには必要なんだろうなと、改めて考えてしまったのでありました。

21.11.25 道具製作実習2
 この日はそれぞれにモノを持ち寄って、いよいよ作るべき道具を決定する。
 私も3軒ほど百円ショップを回ったのだが、「そこそこの大きさがあり」「舞台にのせてもおかしくなく」「過去や他ではやっていないもの」というとなかなか難しい。私はレインコート+ハンガーを持って行ったが、他にはモール・シャワーカーテン・食器棚用シート・シャンプーハット・花形スポンジ・銀色のシート・ふろしき・なわとび・ストロー・ビニールひも・蛍光塗料など、さまざまなモノが出てきた。今回もなかなか楽しい感じである。
 今後は11人を2チームに分けて作業。どんなものが出来るのかは乞うご期待。とはいえ、実際に作る時間というのは12月2日の2時間だけ。それほど難しくはなく、作業人数も多いものの、とても間に合わないと思うのだが…。最悪別の日に、どこか部屋を借りて作業せざるを得ない気もする。ともあれ、2日、出来るところまでやってみましょうということなのでありました。

21.11.27 兵庫県立芸術文化センター特別授業 劇場を取り巻く環境
 芸術文化センター特別授業の最後は美術(大道具・舞台機構)コース。これまで2回は中ホールでの講義であったが、今回は最後に大ホール見学となる。大ホールは観客としては何度も訪れているが、バックステージを見るのは初めて。期待が高まる。
 前半は公共ホールを取り巻く環境と先生がやってきた舞台美術の仕事の実例について。今回の先生は某ミュージカル系の大劇団(分かるって)で舞台美術をされていたそう。長期ロングランの舞台セットで気をつけることなどの話(資料はちゃんととっておきましょう!)なども非常に興味深かった。しかし、一番気になったのが「最近、演劇ができるホールも、演劇を見るお客さんも減ってきている」ということ。確かに、大阪では大きなホールがバタバタと消え、演劇東西の雄である劇団四季も宝塚歌劇団も空席が目立ちつつある…。(四季は全体のチケット代を下げ、宝塚は高額な席と低額な席の差を大きくしました。実に分かりやすいですな(笑)。)少子化がそれほど大きく影響しているとも思えず、むしろ団塊世代が暇になってきているにもかかわらずこの結果というのは、非常に憂慮すべきこと。対処方法としては、地道だけど、やはり小さなころから演劇に親しむ機会を作っていくしかないのかなという気もする。
 さて、大ホール見学。どこでも行きたいところに連れて行ってくれるというので、当然スノコ(舞台の一番高いところ)へ。なんとスノコへ上がるのもエレベータ。そして、一番上から下を見下ろせば、下にいる人々が小さく点のよう…。お約束で「見ろ、人がゴミのようだ!」と言い合う。下りは階段を下りたのだが、相当怖かった人も多かった模様。私自身はあまり高いところは好きではないが、確実に安全が確保されていると確証できるところではなぜかそれほど怖くない。今回は全然大丈夫で、むしろ大いに楽しんでいた。理屈っぽい高所恐怖症なのだろうか?
 その後、客席と奈落を見学。2階や4階の音響が意外とよい、というお話には大いに納得。そこが、この大ホールの長所だと私も思う。その分、1回の一番奥は正直…なのだが。奈落は中で十分に作業できる大きさ。自主制作を前提にして作られているとのこと。多少天井までの高さ(タッパ)が低い気もするが、いろんな人の意見を基に作られたホールなので、問題ないのであろう。
 最後に先生が言っていたが、ホールというのはやはり多くの人のチームワークがなければ動かせない。そして、今回の3回の芸文センター特別授業でも、毎回たくさんのスタッフさんたちが、私たちの授業のためだけに手伝ってくれていた。本当にありがたいことである。今後もこのホールには公私ともども何度となく訪れると思うが、裏ではあのスタッフさんたちが活躍しているのだろうなと感謝しながら、演目を楽しみたいなと思ったのでありました。
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