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過去の2日に1回日記 保管庫(2012年4月〜6月)


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4月の「予定は未定」
 やっぱりありました、異動。ということで、まだ引き継ぎも終わっていない(というか、どういう仕事かすらも全く分かっていない)状態なので、ほんと予定が立ちません。まあ、土日開館のホールのようなお仕事ではなかったので、ある程度は動けると思っているのですが。

【観劇予定:○予約済み △検討中】
○ノンバーバルパフォーマンス 「ギア」ART COMPLEX 1928
△ピッコロ劇団オフシアター「エレノア」ピッコロシアター
△劇団●天八「エイモスの翼」ABCホール
△彗星マジック「現代空想戯曲短編集」インディペンデント1st
【その他】
・4/8 ピッコロ関係お花見
・4/21 友人公演お手伝い(いるかHotel公演「木曜組曲」Art Theater dB 神戸)
・4/28- ゴールデンウィーク旅行(予定)

 前々からわかってはいたのですが、4/21-22に実にいろんな公演が集中しています。今のところ、20の晩にピッコロに行って、21はいるかHotelのお手伝い、22にエイモス→彗星マジックのはしごという案が有力。とはいえ、これも仕事次第。職場や仕事によっては、週末出てきて作業をしないと間に合わない可能性も捨てきれません…。かなり嫌な方向に転びつつはあるのですが、仕事で自分の時間が削られるというのは本末転倒ですので(ん、本当か?)、極力仕事はさくさく済ませて、プライベートの充実に努めたいと思っています。(2012/4/1)

破壊と気付き、そして「ことば」の再生の物語
(ノンバーバルパフォーマンス 「ギア」感想1)

 ノンバーバルパフォーマンスなる分野があります。言語を使わない演劇の一種で、ニューヨークでの「ブルーマン」や「STOMP」、ソウルでの「ナンタ」や「ジャンプ」が有名です。言葉を使わないということから海外の人にも分かりやすく、また筋書きもそれほど複雑でないことから、むしろ夜の観光という点でも経済的な注目を集めています。そして、日本においても、この4月1日から京都でロングラン公演が始まりました。それが、この「ギア」です。
 会場のアートコンプレックス1928は、その名の通り昭和3年建築のクラシックビル。その雰囲気が舞台装置と実にマッチしています。四条河原町や四条烏丸からもほど近く、周辺には京都を代表するような老舗・名店もたくさん。地の利と建物の利にも相当恵まれています。
 作品は主に5つのパフォーマンスと、大きな一つのストーリーで構成。パフォーマンスは、マイム・ブレイクダンス・マジック・バトントワリング・クラッシックダンス(?)。どれも素晴らしいパフォーマンスでした。それぞれでも十分楽しめますので、そう言った意味でのお得感はあります。ただ、この作品の本当に素晴らしいところはおそらくストーリーなのだろうなと。
 ノンバーバルパフォーマンス、意外なほどに互いの意思の疎通はできるのです。観客もそれを納得してきた中で発せられる、たった一つの「ことば」。そこにこの作品の全てがあるような気がします。言葉というのは意志疎通のためだけのものではない。もっと心の底から湧き出てくるものであり、相手のそれを受け止めることが感情のコミュニケーションとなる。本編のほぼ全てがノンバーバルであるがゆえに心にスッと落ちてくる、言葉の重みや大切さ、そして人の思い。それが、(若干不覚にも)観客を感動させるのです。
 基本的に「ギア」は、高質なエンターテイメントであり、楽しいお話。でも、最後の最後にちゃんとメッセージ、主題をことを入れ込むことに成功している。そこに演劇的な何か、そしてノンバーバルの無国籍な舞台に見えながらも日本的な何かを感じずには居られなかったのです。(2012/4/3)

Ones who make a brighter day.
 2008.7.12-13(黒川温泉&別府) 露天風呂で普段は直接かかわり合いのない係長さんと、自分の係の問題について語り合ったり。夜の大富豪大会では、普段はおとなしそうに見えた女の子が大胆な手でどんどん勝ち上がって、見直したり。別の女の子はひたすら横でお酒を作って飲んでいて、「酒豪」の名を揺るぎないものにしたり。2台のレンタカーで行ったので、九重“夢”大吊橋でそれぞれがあっちとこっちの駐車場に止めてしまい、橋のど真ん中で再会を祝したり。
 2009.7.11-12(津和野、萩) SLやまぐち号ではSLよりもむしろビールを楽しんでいる一団がいたり。津和野では源氏巻きづくり体験。時間的に厳しいと分かりながら強行軍で森鴎外旧居へ行ったり。1時間半近く普通の路線バスにのって萩に行って、晩は温泉卓球にまたまた大富豪。コインロッカーにみんなの荷物を預けて、萩市内観光の後、「もしかしたら間に合うかも」ということで、東萩駅で新山口駅行きのバスを少し止めてしまったり。荷物リレー大会とか、新山口駅での交代交代の荷物番とか。
 2010.7.10-11(熊野古道) 貸し切りバスの旅行。行きのバスの中でものすごい悪路と積み込んだ大量のアルコールとで、酔う人が続出したり。高野山奥の院では変った形のお墓の話題。夜は、プロジェクターまで使った大掛かりな余興。隣席の彼女の演技力にちょっとびっくりしたり。大富豪大会では準優勝。翌日の熊野古道は雨だったにもかかわらず、強行。靴の中までびっしょりだったけど、自分たち以外誰もいない世界遺産を満喫。西日本一の露天風呂、地元のご老人とのふれあいがあったり。
 2011.7.2-4(ソウル) 関空で、ほぼ同行程の前職場の人々と遭遇。ホテル隣の焼肉屋が日本語通じず、久々にカタコト韓国語を使ったり。でも安くて大満足。地下鉄駅のコンビニでT-moneyを購入。みんな普通のカードを買う中、かわいらしいキャラクターのT-moneyを購入した方がいたり。ゲリラ豪雨の中で行った国立博物館。明洞で射撃をしたり、カジノに行ったり。最終日は若干強行軍でロッテマートに行って、みんなで買いだし。お腹も心も満足な中、帰りの飛行機はむちゃくちゃ揺れてみたり。
 新しい職場では残念ながら、どうも職場旅行はないようです。でも、いろんな機会を見つけて人を知り、より明るい日々を過ごすことができる職場は少しずつでも作っていけるはず。これまで出会った人々に本当に感謝しつつ、新たなリセット。一歩ずつ踏み出していきます。(2012/4/5)

この舞台から起こる演劇界の新たな嵐!
(ノンバーバルパフォーマンス 「ギア-GEAR-」感想2)

 4月1日の初演。記録までに書いておくと、バトントワリング:出口訓子さん、ブレイクダンス:達矢さん、マイム:岡村渉さん、マジック:山下翔吾さん、ヒロイン(ドール):兵頭祐香さんでした。それぞれに素晴らしいパフォーマンスを披露してくださったのですが、中でもマジックの山下さんと、ドールの兵頭さんには心を奪われました。マジックは、自分のメインの場面以外でもちょこちょことマジックをやっていたりして、それも決まっているんですよね。マジックがないお芝居パートでも、ちょっと気取ったおちゃめなロボロイドという役柄をきちっと演じておられたのが印象的でした。そしてドールの兵頭さん。以前、イマドキの演劇学校CAMP!!「嘘つきの一日」でちょこっとだけ出演されていて、その時にも「この人はサブ的な扱いの役なのに、えらくうまいなあ」と思っていたところ、講師としてアシストで入っていたとのことで、なるほどと納得した経験があります。コミカルな動きも、LEDダンスも、そして圧巻の最後も、本当に感情が伝わってくる素晴らしい演技でした。「ギア」のストーリー部分はすべてドール役が作り上げていると言っても過言ではなく、他の方だとどんな作品になるのか、それはそれでまた確かめたい気もします。
 そして、以前、図面と模型は見たことのある舞台美術。さすが関西、そして日本を代表する舞台美術家のお一人・柴田隆弘さんの作品です。一見雑然と見えるものの、それぞれが全て有機的にかみ合っていて、ちゃんとお話で活きている。小劇場で一般的な数回限りの公演ではなく、ロングラン公演ということで、耐久性もありながら、でもかなり細かい細工まで施された舞台になっています。映像や照明、音響もロングラン公演ということもあって、かなり豪華。特殊効果(?)もこれでもかってほどにやってきますので、それはそれで実に楽しかったり。
 さて、このロングラン公演、一応6月末までは予定されているようです。もともと長い間トライアウトをやってきたのもあり、キャストにせよスタッフにせよストーリーにせよ、レベルの高さは折り紙つきです。ただ、平日も含めたロングランがどこまで定着するのかはなかなか難しいところ。ツイッターやフェイスブックもがんばって更新しているものの、それだけでどこまで続くのか分かりません。口コミ重視はすごく良い方法だし、それで広めていくというのはある意味正攻法です。ただ、それだけでロングランが維持できる(≒ビジネスとしての継続可能性が見えてくる)とはちょっと思えません。
 よく言われるのは外国人観光客なのですが、ちょっとしんどいかなと思える部分も。というのも、「ギア」はちゃんと見てみれば、ある意味、非常に日本的な情緒にあふれる作品なのですが、表面上はそう見えないのです。実は、ソウルで人気の「ナンタ」も「ジャンプ」も、韓国らしさをふんだんに盛り込んだ作品なんですよねー。また、英語版のホームページがなかったり、会場案内も事実上日本語だけ(映像字幕には英語がありましたが、韓国語や中国語はなし)というのもなんとなく気になります。そして、日本人観光客にとっては、京都と言えば古いお寺や街並みや舞妓や古の都のイメージで、なかなか京都観光に行った際に「ギア」の雰囲気に触れようとはなかなか思わない気も。もちろん、そんな固定概念を跳ね飛ばすほどの高評価が出来あがっていけばまた変ってくるのかもしれませんが…。
 ともあれ、この「ギア-GEAR-」の経験と結果は、間違いなく今後の日本演劇界の一つの方向性を決めてしまうだろうなと思っています。日本の一地方都市でロングランのノンバーバルがちゃんと成立するのかどうか。いろいろと前途は多難なれど、ぜひあの舞台から革命の嵐を起こしてほしいと願っているのです。(2012/4/7)

ひさびさに残業
 久々に11時まで残業しました。前の職場では2年半ほど前、1回だけアクシデント的にこの時間まで残ったことはあったのですが、その後は9時を回ったことさえほとんどなく、昨年度は年全体で10時間程度の残業だったので、全く違う状況です。仕事量が多いのもありますが、やはり慣れていないというか、特に部(国で言うとカウンターパートになる省庁)が違うと全く常識が通用しない世界が多々あるので、公務員十数年目とはいえなかなか大変です。
 とはいえ、まあ気楽なのは、昔むかし、霞ヶ関で過ごした時期や、財政課で予算を作っていた時期に比べるとまだまだという部分があるからで、やっぱり若い時の苦労はあとあといろいろと役に立つのだなあということを改めて実感しております(まあ、それが正しいかどうかは別にして)。多分、これまでずっと楽な仕事をしていて、急にこの職場に掘り込まれたら、やっぱり適応に障害をきたしそうな気がいたします。
 少なくとも、自分はメンタルヘルスにならないだけのセルフマネージメントは出来ると思っているので、まあ、心を病まない程度にがんばります。今後、書き込みが減るかもしれませんが(2日に1回はもう無理かも)、ご心配なきよう。ではでは。(2012/4/9)

にんじん、いろいろ
 相変わらず忙しい日々が続いています。今日は午後9時に退庁しましたが、こんなに早く帰れたのは本日は定時退庁日だから。ある意味、定時退庁が有名無実化しているようです。まあ、前の職場は毎日定時退庁だったので、逆の意味で有名無実化しておりましたが…。
 ともあれ、仕事にずっと心を奪われているのは私の人生で全く本意でないので、適当に息抜きなり気分転換なりを散りばめていこうかと思っています。まずはお昼休み。先日、数年ぶりに職場北側にある相楽園の年間パスを購入しました。職場から歩いて数分のところにある、喧騒の職場とは全く違った静かで落ち着いた世界。有料入場施設なのでいつも空いていますし、庭園なのでさすがに綺麗です。あずま屋だのベンチだのも結構あります。今日は雨だったので行きませんでしたが、またお弁当を買ってちょこちょこと通いたいなと思っています。
 あとは演劇ですかね。平日の晩は正直読めなくなってしまいましたが、土日はさすがに休めるようなので(ダメなこともあるらしいけど)、これまでどおりのペースはさすがに無理でしょうが、精選してでも観に行きたいなと。あまり難解なものは日常の疲れを増幅させてしまいそうなので、なるべく単純でハートウォーミングな作品を狙って行こうかなとも思っております。そして旅ですが、当面はカレンダーの休み通りで行くしかないようです。社会人としては当然と言えば当然なのですが。ゴールデンウィークは、合間の平日に普通に会議が複数あったりするので、やはり遠出は無理。どこか国内近場で、今からでも予約取れるところを探しましょうかね。あとは、6月に強行軍で(職場に内緒で)韓国・麗水万博に言ってくる予定です。8月のお盆も、またまた韓国で、今度は麗水万博の閉幕を見てくるつもり。出来たら、ソウル・麗水以外の地域も見たいなと思っています。
 とまあ、いろんな「にんじん」をぶら下げつつ、当面ゴールデンウィークを一つのゴールに走っていくしかなさそうです。(2012/4/11)

13日の金曜日の焼肉の会
  今日は久しぶりに、去年の夏お芝居を一緒にやっていた面子で集まって、牛角で焼肉の会でした。女子比率が高かったのであまり食べられないかな-とちょっと危惧しておりましたが、そんなこともなく、お腹いっぱいいただきました。締めのラーメンや、別腹のアイスクリームも大変おいしかったですし。この勢いで来週も何とか乗り越えることができるかなと。
 思えば数年前、ピッコロに通っていた時は飲み会飲み会の毎日でしたが、あれはあれで金銭的にも健康的にも不適切・不健全な状況だったのかもしれません。今のように平日はひたすら働き、わずかな土日だけが楽しみでそこでゆっくりと休むという方が、社会人としては(少なくとも日本人の社会人としては)明らかに適応的な姿のような気も致します。もちろん仕事の方にもそれなりに楽しみがあったほうが良いのですが、正直、今回の仕事ではなかなかに難しそう。むしろ仕事は仕事、プライベートはプライベートと、明確に切り分けておいた方が精神衛生上も良い気が致します。
 13日の金曜日。ちょうど月半ばの鬱々とした時期だし、金曜日なので翌日はお休みだし、1年に1、2回は出てくるし、久しぶりに再集合するきっかけとしてはなかなか良いかもしれません。今回と同じメンバーにはならないかもしれませんが、今後もぜひ13日の金曜日企画をしていきたいなあと思っています。(2012/4/13)

もしもtotoBIG、6億円が当たったら。
 100歳まで、これから60年生きるとしても、1年当たり1千万円は使ってもいいわけで。残さないといけない家庭環境でもないので、今後の人生の中で全部使い果たすこと前提で。
 当然、仕事はあっさりと退職。元気な間の時間がもったいないですし。そして、1カ月ぐらいは様々な手続きとか、今後の行く末を考えたりとか、そんな時間に費やして。
 まずは、英語の勉強と旅行を兼ねてアメリカかな-。ニューヨークでミュージカルやコンサー三昧、美術館めぐりもいいかな。時には、ボストンとかワシントンとかフィラデルフィアとか落ち着いた街に滞在するのもいいし。アメリカと英語に慣れてきたら、レンタカーでアメリカ一周でもしますかね。西部とか南部とかも、ゆっくり回っていくとそれぞれに違った街の様相があって面白そう。一人旅には向かない気もするけど、カナダ・アラスカも季節によっては楽しいかな。南米とかヨーロッパとか、1カ国1週間ぐらいでゆっくり回って見たり。中央アジアを1カ国ごとに踏破して日本に戻ってくるのも楽しそう。アフリカ・南極は、リタイアした欧米人だらけの現地ツアーよりは、日本からのツアーの方がいいかも。
 そうそう、やっぱり拠点は日本の方がいいですよね。資産課税がほとんどないし、消費税も安く、インフレもしないので、この国は「財産を守る」タイプの運用には適しているのです。それと、何よりもちゃぷんと浸かれるお風呂と温泉の魅力は日本ならではです。腐っても日本というか、海外への航空便から見ても成田・羽田というのはかなり便利な世界的拠点ですし(例の世界一周で調べていて知りました)。
 両親が亡くなって日本での拠点が失われた時が一つの山場ですかね。まあ、その頃には世の中に身寄りのない独居老人が溢れていて、そういう人向けの各種サービス(見守りとか、家事代行とか、連絡代行とか)が充実しているのではないかなと。そして、(100歳−死んだ年)×1,000万円が残るので、それでお葬式とかお墓とか適当にしてもらって、こそっと人々の記憶から消えゆく、と。
 と皮算用してしまったりする、春の日曜日の午後なのでした。(2012/4/15)

4/8の花見の思い出
・相変わらず集合時間には、2人しか集まらない。
・主催者がいないにも関わらず宴は始まる。
・551の肉まんとかシューマイとか美味しい。
・日本各地のお土産も回る。
・徐々に人数が増えていく。夜も暮れていく。
・どこからか、自然にペンライトが何本も出てくる。
・演劇と党派性について熱く語る横で、熱くタロット占い。
・買ったばかりのカメラに煙草の灰をかける人あり。
・ブルーシートで横になって寝てしまっている人あり。
・去年の本科生はなかなか活発だったとかなんとか
・そして、今年は友達100人できるかな状態とのこと。
・いつのまにか一人二人減って閑散としてくる。
・帰路、突然に花火大会が始まる。花火を持たせた人が話題になる。
・花火終了後、あんまり盛り上がることもなく、みんなバラバラと家路に就く。
・今後も恒例化するらしい。こういうゆるーい感じもいいかも。
・ところで、花ってなんだったっけ。
(2012/4/17)

新拓
 我が家の庭で富山の友人から球根を頂いたチューリップが咲いています。せいぜい出勤前の一瞬と、帰宅時の一瞬ぐらいしか見れないのですが、日々暖かくなっていく中で少しずつ開いて行く花を眺めるのはなかなかに楽しく、ちょっとほっとするものです。
 中でも一番目を引くのが、この「新拓」。富山県花卉球根農業協同組合のページによると、「赤色の花びらの下に葉のようなガクが付いた極めて珍しいチューリップ。 草丈はやや高めですので花壇や大鉢に適しています。(とやま生まれ)」とあります。確かに、関西ではあまり見かけないチューリップです。がくがあることにより、いいアクセントになるだけでなくて、少しずつ開いて行く姿もなかなかに素敵なのです。以前は「孤高のチューリップ」と書いたこともあるのですが、実際に家に植えて毎日眺めていると、一見孤高に見えるけど、実はかなり気ままで個性的で、でも愛らしくて親しみやすい、みたいなイメージかなとも思っているのです。
 いよいよ春真っ盛り。桜の季節は終わってしまいましたが、近場で花の名所を回ってみるのも楽しいかもしれません。まずは、職場横の相楽園かな。小さな自然に心を癒されつつ、なんとかやっています。(2012/4/19)

ただ楽しかった。
 久しぶりの表方当日お手伝い。ペンライト・ストップウォッチ・メモ代わりの単語帳・ゴルフ鉛筆などを持って、黒のTシャツ重ね着して、黒のスニーカーを履いて。初めての劇場、初めての方とお会いしてご挨拶して、パンフレットの袋詰めとか。それでも作業をしながらちょこちょこ話していたら、共通の知人がいることが分かってきたりして、うわさ話に花が咲いたり。しっかりした劇団さんなので、しっかりとしたケータリングシステムが備わっていて感心したり。
 今回のお仕事は、恒例となりつつある客席誘導。「今からお客さんを入れます」と舞監さんがコールした時にホールに広がる前向きな緊張感。お客さんがホールに入り、初めて舞台を見た時の驚きの表情が嬉しかったり。ときどきピッコロの知り合いもいて懐かしんだりとか。前説後は、客席に座らせていただいて、お芝居を鑑賞。女優さんたちのしっかりした演技。きれいな地明かり。時にはかすかだったり、時にはずーんと響いてきたりする音響。そして、象徴的な小道具たちと、これらすべてを支える舞台美術。話の進行とともに否応なく高まっていく緊迫感。そして、作品が終わった後の安堵感と解放感と寂寥感。それぞれに印象深かったのか、お客さんも一生懸命アンケートを書いており、なかなか退出せず。それでも、最後のお客さんがでて、また舞監さんが「完パケです。お疲れさまでした」とコールしたときに広がる安堵感。
 マチネとソワレの間の、緊張感と緊張感の合間の、不思議なのんびりとした時間。そして、ソワレの後のほっとした空気。キャスト・スタッフの全員が集まって、明日に向けてのミーティング。「明日もまた頑張ってくださいね」「またどこかでお会いしましょう」とあいさつしながらの退出。ひとり、アスタくにづかの中を新長田駅に向かいながら、ただ楽しかった時間のことをかみしめていたのでした。(2012/4/21)

書く、描く
(いるかhotel「木曜組曲」感想1)

 私は小学生の頃、かなり作文の好きな子でした。記憶に残っているのが、同じく作文好きな女の子と原稿用紙の枚数で競争したこと。確か、小学校3年生か4年生かだったと思いますが、その成果もあって、そのうち400字詰め原稿用紙の10枚、20枚ぐらいなら結構すらすらと書けるようになっていたのです。小さいうちに「書く」ことに対する抵抗が全くなくなったことは、良くも悪くも、あとあとの人生に大きな影響を与えているようにも思えます。悪い方としては明らかに書く文章が軽いというか、重みに欠けるなあと。まあ、このホームページ自体もある意味、その成果というか、なれの果てなのかもしれません。
 今回の木曜組曲、「書く」ことを生計を立てる方法にし、また書くことに人生をかけている女性たち6人の物語でした。彼女らはまさに命を削って書いています。ホームページやらツイッターやらに駄文を並びたてている私とは大違いです。ただ、そんな彼女らのたどり着くところは、徐々に筆は鈍り、発想は枯れ、周囲からは批判を受け、プライドが傷つけられている、往年の大女流作家・時子の姿。世の必然とはいえ、なんとも残酷な真実。それを分かっていながらも時子は自分の後に続く若いもの書きたちに白紙の原稿用紙を渡し、彼女たちも結末の残酷さをどこかで感じながらそれを受け取る。そこには命を削ってでも何かを書かなくてはいけない、描かなくてはいけない、そんな人間の自分への諦観と、その中で生きようとする確かな決意、そしてそれを引き継ごうとする意志とが、花の形に折られた原稿用紙からもしっかりと伝わってきたのです。
 今回、約3年のインターバルを経て復活した「いるかhotel」。その最後にたどり着く場所は誰にも分からないけど、これから彼ら、彼女らが書き、描き出す世界もまた、実に楽しみなのです。(2012/4/23)

どんどん一足とびで飛び越えていかないと頂上にはたどり着けないんだよ。
(いるかhotel「木曜組曲」感想2)

 木曜組曲は女性5人+1人(時子)の物語。そしてこの女性5人には血縁関係があったり、全員が物を書くことを商売にしている女性たちでした。とすると、その人物像というのはどうしても似てしまうんですよね。その似てしまっている部分をきっちりと保ち、見せながら、でも個人個人の違いもしっかりと描き出していくという、かなり高度な演技が求められるお芝居でした。そして、今回の女優陣はこの難しい課題に見事に応えていたように思えます。客演の小野朝美さん、生田朗子さん、中村真理亜さんはそれぞれに貫録の演技でしたし、いるかHotelの柳本麻見さん、渡辺倫子さん、岸原香恵さんも、それぞれに役柄をきっちりと捉えて1時間半、その役で舞台上で生きていたように感じました。この個性的な女優陣をまとめ上げた演出の谷省吾さんの力も、改めて感じることができる舞台だった気がします。
 そして、ステージを客席に、客席側をステージに使った、あまりにも印象的な舞台美術。その中央にはまるで川の流れのように、校正中の原稿用紙がべたべたと貼られています。私は今回客席誘導をしていたのですが、会場に入ってきてすぐのお客さんの驚いた顔は、自分が考えた美術ではないにせよ、非常にうれしく誇らしかったです。そして、実はかなり細かく作られている照明、陰でしっかりと仕事をしている音響もかなり高レベルでした。そして、何よりも今回お世話になった制作。そのレベルの高さには改めて驚かされました。制作かくあるべしというか、いらいらすることが全くなく、全てが合理的かつストレスフリーに流れていたように感じます。客導線、入口の流れ、当日スタッフへの説明、ケータリング、役者・舞台監督とのつなぎ、ホールさんとのやりとり…。ある意味、これは他の小劇場系の方々にも見習ってほしいと思うほどでした。
 演劇をするのに、自分で小劇団を立ち上げて、少しづつお客さんやらノウハウやらを身につけて言って、いずれはメジャーしていく…という方法も決して悪くはないと思います。でも、ある程度出来あがったレベルの高い集団の中に飛び込んでいくことにより、自己満足の世界よりも数段上の世界のやり方やら作法やらを見に付けることもできるのかなと。そう言う意味で、このいるかHotelは、演技にせよスタッフワークにせよピッコロOBだけでやっている劇団とは数案レベルの違ったものであり、だからこそ学ぶべきものも多かったのです。(2012/4/25)

大きな劇場で小さな主人公が描いた大きな物語
(劇団●天八「エイモスの翼」感想)

 ピッコロ時代の同級生がABCホールの舞台に主役で立つ。これはぜひ見届けないとということで、行ってきました。
 第一次世界大戦後のアメリカの戦災孤児院が舞台。ただ、アメリカは「戦争に負けた」設定で、かつて賞賛を受けた飛行機乗りたちは、むしろ非難の対象となってしまっています。エンジニアになることを強制されながら、絵本作家になる夢もあきらめられない少年・リタも、飛行機乗りだった父親を戦争で亡くした戦争孤児。と、かれを引き取りたいという復員兵・エイモスが現れて…というお話。
 劇中で最も大切な役割を果たすのが、「コノユビトマレ」という物語。みんな疲れ果て、さまようことをやめようとした時に、一人の小さな子が突然言った「コノユビトマレ」。とても無理と思ったけれど、少しずつ少しずつ「コノユビトマレ」の輪が広がっていき、旅は終わったけれど、水をあふれさせ、大地を作り、緑を飾っていく。実はこのお話、水蒸気が集まって雲になり、そして大地を潤すことのメタファーであることが解き明かされます。人体の60%ちかくは水。それが蒸発して、雲になっている、自分もいつか死んだお父さんのいる空に行ってみたい…。これが解き明かされるリタとジッテ先生のシーンは、物語、演技、立ち位置、照明、音楽ともに、本当に美しかったです。
 見に行くまで、予備知識はなかったのですが、終幕後の挨拶によると、この作品は阪神・淡路大震災の孤児たちのことを念頭に7年前書かれ、今回、東日本大震災を受けて再演を決意されたそう。確かに「コノユビトマレ」、つなぎ合う、結び合う、その一歩目の勇気の大切さがしっかりと伝わってきました。舞台セットにせよ場面展開にせよ余計なものを廃し、際立たせるストーリーなり人物なりを明確化し、訴えるべき主題をストレートに提示していく。大きな劇場であることを明確に意識した大きな物語。もっと多くの人に見てもらいたい好作品でした。(2012/4/27)

楽しくて、ちょっとほろ苦、日帰りバスツアー
 三連休の中日は両親とともに、日帰りバスツアー。今回は、阪神御影駅前でピックアップしてもらい、六甲道→三宮→神戸と人をピックアップしていって、舞鶴道・和田山春日道路を使って一気に北近畿へ。和田山の海鮮煎餅屋さんで試食し、夜久野の京都府緑化センターでほぼ葉桜のしたれざくらを枝垂れ桜を鑑賞し、天橋立まで出てアワビの踊り食いと甘エビ・鯛飯食べ放題のお食事。文殊堂を参拝してから、メインイベントであるたんとうチューリップまつりを見て、出石の市内を散策。帰りは一本柳交差点のパオパオによってというツアーでした。なかなかに盛りだくさんで、日帰りバスでありながら十分楽しめました。特に但馬は10年ほど前の勤務地。ゆっくり訪れたのはひさしぶりで、チューリップまつりの会場で知り合いに出会ったりとか、なんとなく懐かしい旅でもありました。
 ちなみにこのバスツアー、1人5,550円。有料の観光地はチューリップまつり(500円)だけとはいえ、かなり立派な料理が出て、いろんなところに丸一日連れて行ってくれてこの値段とは、本当にお得です。というか、バス会社や旅行会社の取り分は本当にあるんでしょうか。多少のバックマージン的なものはあるんでしょうが、日帰りバス旅行では最近みなさん、それほどお土産を買いこみませんし。もともと薄利多売型の業界とはいえ、ちょっと心配になってしまいます。
 おりしも関越道のツアーバス事故があって、バス運転への規制は強化されそうです。となると、こういう日帰りバス旅行もちょっと値段が上がる可能性も。それは嫌だと思いつつも、安全性の向上や運転手・旅行業界の待遇の向上が図られるのであれば、ちょっとたくさん払うことを容認すべきなのかなとも。とはいえ、ついつい安さに引かれてしまうのが一般庶民ではありますが…。
 デフレのわなとその解決の糸口は、実は意外と、こんな場所に見え隠れするのかもしれません。(2012/4/29)

四国・四半世紀
 GW後半、急に船に乗りたくなったので、フェリーで四国に行きます。フェリー2泊、松山1泊の旅です。
 四国は何回目になるのでしょうか。昔まとめていた「鉄道記録」によると、1回目は1987年の「四国1泊2日」。当時は高松・高知間の夜行普通列車(高松0:53発−高知4:35着、221列車)があってそれで夜を越しての四国一周。行き帰りは当然、宇高連絡船です。これで味をしめて、1998年3月には今度は4泊4日旅行。今はショッピングモールになってしまっている東神戸(青木)港から足摺(土佐清水)港行きフェリーに乗って四国上陸。宿毛YH、宇和島YH、松山YHと泊まりました。そして、同年4月9日・10日には「さようなら宇高連絡船 こんにちわ瀬戸大橋線」ということで、宇野22:50発の土佐丸最終に乗り、高松翌4:38発の快速マリンライナー2号岡山行きで初めての本四連絡橋を渡りました。こうして、四国は新しい時代に突入します。
 その後は関東の大学に入ったこともあってしばらく四国には行っていなかったのですが、一度、備中高松に行くのでシャレで高松経由で行ったことがあります。(寝台特急「瀬戸」に始発から終点まで乗りたいというのが本当は一番大きな理由でしたが。)神戸に戻って来てからは結構ちょこちょこと行っており、ざっと思い出すだけでも、高松にうどんを食べに行ったのが1回、但馬で観光をやっていた時に観光キャンペーンで松山・高松に行ったのが2回、徳島に仕事と観光で各1回いった、高知にほぼ日帰り観光で1回、尾道側からレンタル原付でしまなみ海道を渡りちょっとだけ今治に上陸した1回ぐらいはあります。こうやって書き出してみるとかなりの訪問回数ですが、鉄道かバスか自家用車か原付かは別にして、これらは全て「陸路」での四国上陸。行き帰り「航路(海路)」というのは24年ぶりになのです。この間、自分も変わりましたし、四国も変ったはずです。少なくとも四国に行けるフェリー航路自体がほぼ壊滅状態となってしまっています。
 ゴールデンウィークなのでどこも混雑しそうで、天気もいまいちのようですが、若干のんびりペースで日ごろの疲れをいやしてきたいと思っております。それには四国の風土と人々とがぴったりかなと。ということで、明日の夜、ひさびさの夜行フェリーからスタートです!(2012/5/1)

5/3は四国旅行中のため、お休みでした。

旅情あるフェリーな旅へ
 「3泊2日」という四国の旅に行ってきました。さぬきうどんを食べたり、あんぱんまん列車に乗ったり、友人のお見舞いに行ったり、重伝建の街並み2つを訪れたり、現存12天守の一つ松山城を訪れたり、道後温泉に浸かったりと、突然決めた旅の割には充実した2日間。とはいえ、今回の旅の趣旨は「船に乗りたい」だったので、まずはその感想から。
 行きは、神戸−高松のジャンボフェリー(こんぴら2)。4時間の航路が1,800円という超格安フェリー。神戸でも中心街に近い場所から出ており、ずっと乗ってみたいと思っていたもののその機会がなかったのです。今回はゴールデンウィーク初日の夜便ということもあり、超満員。ツイッター情報によると、かなり多くの旅客が船から観光バスに振り替えになったとか。バスの方が早く着くのは間違いないようですが、やっぱりフェリーの方が楽な部分もあり、どっちが良いかは分かりませんね。船内の至る所にゴザがひかれ、甲板に椅子を出して寝ている人もいるなど、ちょっとしたアジアンな難民船状態でした。普段はもっと空いているらしいので、今度は+2,000円の個室を狙ってみましょう。
 帰りは、東予(今治)−大阪のオレンジフェリー(オレンジ8)。こちらは2等寝台が取れました。2等席から+1,000円なのでどんな寝台なのだろう…と心配だったのですが、私でもさほど狭くなく、プライベート感の保てる作りになっていました。これはなかなかによろしいかと。そして、展望風呂やレストランも十分に堪能。特に朝食バイキング850円は、船の上にも関わらず品数も多く、じゃこてん・かまぼこだのをはじめ、地元産の食材をたくさん使っており、お得感がありました。ただ、このバイキングは新造船の「おれんじ8」だけで、逆方向の夜行便(下り3便)は昔ながらの和食セット・洋食セットのようです。
 夜行列車がほぼ壊滅状態の今、ある意味最も旅情を感じることのできる交通機関がフェリーなのかもしれません。本四架橋後(そして石油高騰や1000円高速の実施後)、数は減っているのですが、まだまだ阪神と九州を結ぶ便など、いくつか残っています。飛行機で遠距離まで行くことが難しくなってきた今、今度はフェリーにはまってみるのもよいかなと思っているのです。(2012/5/5)

ただのお客は一番よい客だ(ただし誰かが払ってくれる場合に限る)
 私は毎朝、バスに乗って最寄駅まで出ています。このバス、私の住んでいる町から、阪急六甲を経由してJR六甲道まで行くのですが、この2つの停留所の間に六甲口なる停留所があります。もともとは市電の停留所で、今も三宮方面に行くバスとの乗り継ぎ地点となる由緒正しい(?)バス停なのですが、いかんせん六甲口停留所−JR六甲道停留所間は距離が短く(徒歩3〜4分と言ったところ)、これで200円を取られるのがバカバカしいのであまり乗る人もいないのです。ただ、今日は久々にこの区間で乗る人が登場。どうやら何らかの事情で無料パスがもらえる人のようでした。
 この区間、数年前まで70歳以上の敬老パスが市バス全線無料だった時には、お年寄りの利用が結構多かったのです。バスとバスを乗り継ぐのに便利というのもあったのでしょう。とはいえ、お年寄りの運賃も1回50円、1回100円と上がるにつれ、利用は一気に減ってしまいました。なので、久しぶりに六甲口から乗ってくる人がいたので、びっくりしたわけです。
 バスの場合、多少乗客の数が変わっても運行経費に大きな差はありませんし、利用者がタダで乗った分をそのまま誰かが負担するわけではないシステムだったので、即座に大きな問題にはなりません。ですが、これが一人増えるごとに直接費用がかさんでいき、それを誰かほかの人(他の乗客であったり、あるいは行政であったり)が負担していくシステムだったら大変だろうなと。やはり人間、タダというのは使いやすいものです。どんどん使ってしまいます。そしていつの日か、そのシステムは間違いなく破たんするでしょう。
 逆に言うと利用してもらう側(事業者サイド)から言えば、自腹を切って使ってくれる人よりも、自分はタダの人を優遇した方が、最終的には儲かるということ。それ自体は、企業が経済合理性や利益最大化を追求するのは当然なので、なんら非難に値しません。とすると、悪いのは誰なのか。なんだかそんなことも考えてしまった、朝のバスの一時でした。(2012/5/7)

しばらく不定期日記にします。
 昨日、奇数日だったのに日記を書くのをすっかり忘れていました。というか、その気力がなかった気も。
 ちょっとこの仕事の状況では2日に1回日記は精神的にきついので、当面、不定期日記にします。ではでは。(2012/5/10)

3つの作品、それぞれの色、一つの色
(彗星マジック「現代空想戯曲短篇集」感想)

 すでに3週間前の公演となってしまっていましたが、一応記録として。かなり忘れ始めてはいますが…。
 彗星マジックと言えば、イコール定点風景。少なくとも私にはそうでした。その後、LINXの作品も良かったのですが、これもファンタジーのお話。今回は全然違うというので期待2割、不安8割と言ったところでした。で、感想としては、たしかに定点風景などのファンタジーの世界とは全然違うのですが、でも絶望・諦めからの決意・希望を描くという意味ではどこか共通点も感じられる、それぞれに様々な感情を呼び起こさせられた3作品でした。
 「山小屋日記」「lament」「ヒーロー」の3作品でしたが、個人的に一番好きだったのは「lament」でしょうか。それぞれに悩みや複雑な事情も抱えつつも、大切に過ごした、暑い暑い夏休み。あったかなかったかは、今となってはもう分からないけれど、心のどこかにしっかりと現実として残っている。ある意味、現代のファンタジーなのかもしれません。lamentとは悲しみ、嘆き、哀歌、挽歌、泣き言、 愚痴…という意味だそう。確かに悲しみは悲しみなんだけど、だけど心の通じ合った瞬間は、悲しくも暖かい思い出として心の中に残るのでしょう。
 このlamentに女子高生役で出た米山真理さん。実は次の「ヒーロー」では、いかにもの女性公務員役で出てくるのですが、その多彩な演技にはびっくり。そのほかにも、大西千保さん、立花祐介さん、ネコ・ザ・メタボさんと気になる方はたくさんいらっしゃったのですが、一番思ったのは劇団員さんもみないい場所を占めているなということ。「ヒーロー」でどこか抜けた地方公務員ヒーローを演じた小永井コーキさん、「山小屋」の少女役と「ヒーロー」の怪人役を演じた木下朋子さん(怪人役では、まったく顔を出していないにもかかわらず誰だかすぐ分かり、会場内大爆笑だったのはさすが)、そして主演女優として堂々の演技だった西出奈々さん。劇団員がちゃんと押さえるところを押さえ、その上に個性的な客演の方が乗ってくる。だからこそ、これだけ雰囲気の違う3作品でもそれぞれ面白く、そしてちゃんと彗星色になっているのだなと。そんなことも感じました。
 個人的には「定点風景最終話」越えはしていないものの、十分にその実力を感じることができる彗星マジック本公演だったのです。(2012/5/13)

ほうき、ファイル、ビデオカメラ、プラモデルの姫路城
(スイス銀行「ラブソングでも書いてみる(ヒマだから)」感想)

 スタッフだった友人のお薦めで、先週見てきました。たった2週間間が空いただけなのに、すっかり久しぶりの観劇と言った気持ち。
 入院患者4名と、そこに突然侵入してきた女性のお話。セリフも語られる話も人間関係もどこまでも明るく楽しく。だけど、その背景に常にあるのは「来るべき死」。その中でいかに前向きに、自分らしく生きていくのか。何が最も大切なのか。どこか映画版「風の谷のナウシカ」やミュージカル「オペラ座の怪人」のラストを彷彿とさせる印象的なラストシーンまであっという間の90分でした。
 ストーリーやテンポも良いのですが、とにかく役者さんがうまいのです。それぞれの抱えている背景が語られる・語られないは別にして、ひしひしと伝わってきます。そう言う意味で一番印象的だったのが、小さいころからずっと病院暮らしをしてきた女性・小山田さん(役者は得田晃子さん)。ツアコンだった過去が語られる吉川や、昔、父親と映画館をやっていた天野、もと売れないロッカー・松岡と違い、小山田さんの過去はあまり語られないんですよね。でも、彼女が何を望み、何を大切にしてきたのかは明らかに伝わってくる。だからこそ、ラストシーンにその席に飾られたのが「プラモデルの姫路城」で納得できるのです。
 この、明るくも暗く、開放的でありながら閉鎖的な空間を、インディペンデント1stという狭い空間に見事に表現した三浦綾子さんの舞台美術も特筆すべきでしょう。建物の屋上ということを示す道具としてプラスチックパイプを使ったのは多少説明し過ぎかなとも思ったものの、ある意味、単調になりがちな舞台にいいアクセントにもなっていました。照明も基本はホワイト系ながら、かなり細かく作ってありました。スタッフワークという点でもやはり上質なお芝居でした。
 悩み多い日常を笑いとドタバタ感の中で一旦忘れさせてくれて、それでもぐるっと回って、今ここで生きている意味を決して押しつけがましくなく問いかけてくるようなお芝居。やっぱり、お芝居って本当にいいもんですね。(2012/5/20)

食べ納め?
 先週はようやく年度当初の仕事のバタバタも落ち着いてきた感じ。金曜日はひさびさに定時で帰って、焼肉に行ってきました。なぜかこの数日前から猛烈に焼肉を食べたくなり、以前同じことをつぶやいてきた友人を連れだして行ってきたのです。場所は大阪の下町の一つ、十三。
 ハラミ、アカセン、丸腸、コリコリ、ハチノス、ハートといったホルモンを堪能したのですが、やはり特筆すべきは「生レバー」。巷の報道によると、7月1日からとうとう販売禁止になるとのこと。個人的にはユッケも生レバーもそれほど大好物というわけではないのですけど、美味しいのは美味しいなあと思っていて、やはり食べられなくなるというのはさびしいものです。ちょっと焼肉のわくわく感が減ってしまう気もします。この状況を何とかしようと様々な研究がおこなわれているのも知っていますが、いずれも効果が薄かったり、採算ベースに合わなかったりと、なかなか厳しい模様。少なくとも今後10年、20年単位で、闇でもない限り食べられなくなりそうです。
 魚屋時代にある店員さんが行っていましたが、そもそも別の生物を、それも生で食べるということは、たとえ海魚の刺身であってもある程度リスクのある行為。魯山人も川魚の生食がもとで寄生虫にかかって死んだと言われていますが、そこまでいかなくても、そもそも他の生き物を食べて生きていくという行為自体には、多かれ少なかれリスクが伴うんですよね。たとえ菜食主義であったとしても、死因という点ではむしろ餅を規制したほうが良い(「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10)という話もあり、食という人間の基本に関わる問題というのは、なかなかに複雑です。個人的には、最終的には自己責任の世界なのかなとも思いますが…。
 ともあれ、最後の生レバはなかなかに甘く、ちょっとだけほろ苦かったのでした。まあ、そのうち韓国とか行って、ちゃっかり食べてそうな気もするけど(*^_^*)(2012/5/27)

からの
 最初に「からの」という言葉を見たのは、多分3年前の本科生のブログ。何だか変な用法だなーと思っていたのですが、今や、少なくともネット上では市民権を得たようです。
 今日は年に1度の「仕事じゃないけど仕事の日」でした。まあ言いたい事も反省もいろいろとあるのですけど、それはさておき。
 からの、休日出勤。正直、行きたいわけではないのですけど、先週は早帰り週間であまり残業ができず、月曜日はほぼ1日出張、締め切りが近付いて来ているものがいろいろとあり、なかなかほっておくわけにはいきません。大量コピーや大規模な書類の異動など、普段できないこともいろいろとこなしました。
 からの、4年ぶりのマッサージ。以前、予算の仕事をしていた時は結構通っていたんですよね。職場が変わってからは、そこまでのストレスも残業も減ったのか、全く行っていませんでした。その分のお金と時間が芝居に回ったという部分もあります。ところが、4月から今の職場に変わって来て、どうも肩が重い。そのうち、右腕が痛くて上げられない日があったり、腰が痛んだり、睡眠中に突然足をつったり…と明らかに調子がおかしくなってきました。やっと仕事も落ち着いてきた&懸案だった「お仕事」も一応終わったので、ここらで体をいたわってやろうかなと。初めてのお店でしたが、とっても上手で、外に出てきたときには、数ミリ浮きあがって歩いているような感じでした。今も、肩や腰に嫌な重苦しさが全くありません。1カ月に1回は時間的・金銭的に厳しいかもしれないけど、2カ月に1度ぐらいは行きたいですね。
 からの、博多ラーメン。「こってり」じゃなくて「あっさり」にしたのですが、それでもちょっと重かったかなと。マッサージといい、このラーメンといい、いつまでも若くないということをそろそろ肝に銘じないといけません。
 そして、今週末、お仕事、それれも出張先からの、いよいよ麗水万博です。予約制の拡大と言っていたさなかの予約制撤回とか、韓国語のFacebookでは全くジャパンデーを取り上げなかったとか、ちょっとなんだかなーと言った感じですが、逆に言うとかなり空いているようで、それはそれでラッキーかなとも思っているところです。関空に荷物を事前に送っておくので、ぼちぼち準備を始めますかね。ということで、懸案も片付いて(?)、様々な楽しい「からの」に浮かれているのでありました。(2012/6/3)

東アジアはひとつでひとつひとつで
(笑の内閣「ツレがウヨになりまして」感想)

 すっかり書くのを忘れていましたので。3週間前のことで今さら感もありますが、最近ずっと続けているので。
 会場は京都大学吉田寮食堂。吉田寮の噂だけはどこかで聞いたことがあったのですが、確かにすごい場所でした。実は私は間違って裏口から入ってしまったのですが、タイムスリップしてしまったというか、朽ち果てつつあるというか…。正直、40歳男子でも怖さを感じさせる(笑)会場ではありました。
 タイトルはもちろん「ツレがウツになりまして」から。オーストラリアからの帰りのA380の中で見た思い出の映画でもあります。ただ、主人公の名前が「日向あおい」「富山蒼甫」というぐらいで、映画とは全く関係がありませんでした。とはいえ、笑の内閣、あいかわらず面白いです。演劇的な細かいことを言いだせばきりがないのですが、こういう企画と主題だけで突っ走る劇団というのもあっていいだろうなと。自分もすっかりそれに魅せられてしまっているわけですし。今回は(登場人物が少ないこともあってか)全体的にうまくまとまっており、今後再演も可能なウェルメイドな作品であったと思います。
 前回ビッチ役をやった鈴木ちひろさんが今回のヒロインあおいちゃん。そのほんわかした雰囲気と、時折上方に向ける視線の鮮烈さは、ヒロインにピッタリでした。そして、そのお父さん役の眞野ともきさんが、その体系を生かしてコミカルながらも結構カッコイイ役で、なかなかに決まっていました。そのほかの出演者の方もそれぞれに良かったのですが、特筆すべきはヒロインの友人・中道真実役の焼酎ステラさんの、さっと前にでたり、背景に消えたりの演技。彼女の役柄は、どのシーンにおいてもすべてが中途半端なのですが、それをきちっとこなせる人がいてこそ、芝居がきちんと成立する。役名といい、実は主題にもかかわるキーパーソンなのかもしれません。
 ちょっと話は変わりますが、先週末の麗水万博訪問で、私の万博経験は2005愛知→2010上海→2012麗水と日中韓3カ国になりました。列の並び方や子どもへの対応の仕方など、それぞれに国民性の違いを感じる一方で、「おそらくヨーロッパ、アメリカ、オセアニアの人などから見たら、むしろ共通点の方が目につくんだろうな」とも感じたのです。経済、文化、民族、そして生活様式と、好むと好まざるとに関わらず、やはり東アジアというのは共通点の非常に高い一つのまとまりであることは間違いありません。昨年世界一周をしたから余計そう思うのかもしれません。どう頑張っても無視も一体化も出来ない相手なのですから、過度に相手を警戒せず、逆に無自覚に受け入れすぎることも無く、まさに真ん中の道を歩んでいくことが大切なのかなとも思ったのです。
 …しかし、麗水万博関連で最近、中央日報日本語版とか朝鮮日報日本語版とかを時々チェックしているんですが、なんでみすみすネトウヨが叩きたくなる記事ばかり載せるんかなあ。そのあたり、どこまで行ってもやっぱり理解できないところも多々あり、それは異性に対する恋愛とも近いのかなと、多少感じなくもないのでした。(2012/6/16)



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