プロローグ

富山県西部を流れる一級河川・黒部川。
三千メートル級の頂に端を発し、立山連峰を大きく東西に切り裂き、
日本海に注ぎ込むまでわずか85キロ。わが国有数の急流である。
何度も氾濫を繰り返したこの川を、日本の産業を、生活を支える電力地帯にしたい。
多くの人が、それぞれの夢を持って、立ち上がった。

予期せぬ泡雪崩、百五十度を超える高熱地帯、冷水が際限なく降り注ぐ破砕帯。
黒部の谷は容易には人を近づけなかった。
しかし、経営トップの決断が、最新の土木技術の結集が、作業員たちの完成への決意が、
人を拒む地を、数メートル数センチ単位で、一歩一歩切り開く。
そして今、魔の谷といわれた黒部は、
家庭の団らんを照らし、工場の機械を動かす、電気の源となった。

これは、明日への希望をもって、厳しくも美しい自然と向かい合った、
私たち日本人の物語である。

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