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 全国中央駅めぐり・その5

「横須賀中央駅」
(京浜急行電鉄本線)
−海軍の街の中心市街地の中央駅−


 中心地という意味では鹿児島中央・千葉中央に匹敵すると思われるのが、この横須賀中央駅です。横須賀といえば昔から海軍の町として栄え、今は海上自衛隊と在日米海軍の街でもあります。ちょっとインターナショナルな雰囲気もある駅を訪ねてみました。(2009年1月訪問、2009年2月掲載)
中央駅駅舎
[中央駅類型:同名駅回避型(他社線)]


駅の所在地:神奈川県横須賀市若松町 駅周辺の基本情報(見える範囲で)

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施設種別
有無
施設種別
有無
デパート
スーパー
コンビニ
郵便局
バスターミナル
待機タクシー
食堂・レストラン
ファストフード
その他主な施設 駅売店、旅行センターなど
・注釈
 とにかく中心地です。大抵のものは揃います。というか、ビルや小路も多く、一人で歩いて探しきれないです。これまでの中央駅とは根本的に違う大都会です。
 バス路線はJR横須賀駅が始発のためターミナルはありません。とはいえ、乗降客はこの駅で2分されます。

・おことわり
 当該データはいそべさとしがふらっと駅前を歩いて、感覚で調べたものであり、正確さには大いに欠けます。ご了承ください。


・中央駅を探訪:文字通り中心市街地の中央駅

 京急・横須賀中央駅は、JR横須賀駅との同名を避けた「同名駅回避型」の中央駅。ところが、後からできた京急・横須賀中央駅の方が中心街に位置しているのです。というのも、JR横須賀駅は明治時代、軍港への貨物輸送を主な理由に作られたのに対し、京急は昭和初期、程度市街地化が進んだあとに旅客輸送を主な理由に作られたから。そのため、トンネルだらけの路線になってしまったものの、便利な市街地になるべく近い場所に駅が作られたのです。特に横須賀中央駅は谷間にあり、駅の両側はトンネル、駅の半分ぐらいは橋梁上で、さらに大きく湾曲しています。
 駅を降りるとこれまで訪問した中央駅とは全く違う人の波。向かいのホームには都心に向かおうとする人々が列をなしています。ホームには売店や列車種別ごとの電光行き先掲示板。コンコースに降りれは、出入口も東口の西口の2か所で、いずれも有人。さすが人口40万人の中核市の玄関口です。
 降りてきた乗客の中には、外国人の顔もちらほら。横須賀は在日米海軍の本拠地。単なる日本の在日米海軍の本拠地ではなく、実質上、アジア太平洋地域の拠点となっているそうです。神奈川県の資料には従業員数4,850人とありますが、家族も含めれば、1万人、2万人規模のアメリカ人がこの街で暮らしているのでしょう。お店によっては、英語での説明や、ドルレートの表示をしているところもありました。
 駅の後ろには、「岡田屋モアーズ」というデパート(ショッピングセンター)も立地。岡田屋というのは神奈川県内にはけっこうあるデパートとのこと。7階には横須賀市役所の市民サービスセンター、その名も「サービス工房・役所屋 中央店」が入っており、「いらっしゃいませ〜」と迎えてくれます。年末年始を除き年中無休、土日祝でも19:30までやっているというのは住民には便利でしょう。ただ、役所には権力行政の部分もあって、多少の親しみやすさはともかく、あまりにもやり過ぎると迎合と紙一重と思わなくもないのですが…。
 駅前は、活気のない通りも見られるものの、全体的にはまだまだ元気な中心市街地という印象です。多くの住民が、車ではなく、京急を使って東京方面に通勤していることが、既存市街地の活性化の上で良いのでしょう。また、海には米軍、山は環境保護で、新しいものを作る広大な土地に欠けていることが、実は有利に働いているのかもしれません。
 駅から中心街をとことこと歩いていけば、所々のベンチに彫刻が座っていたり、戦艦が土に埋まっていたり、静態保存されているSLが貯水槽だったり、音楽に合わせて噴水が跳ねまわっていたり。基本的には横須賀中央駅徒歩圏内に、市街地が気持ち良くおさまっています。
 コンパクトにまとまった、住民が住みやすそうな中央駅・横須賀中央駅。駅前のYデッキでは即興の路上ライブや若手市議の辻演説なども行われるそうで、今度はそんな雰囲気も味わってみたいなあと思いつつ、この駅を後にしました。

ホームは湾曲 駅名票 金沢八景方面行きホーム
トンネルとトンネルの間にある新神戸のような駅。ホームも大きく湾曲している。 となりの汐入は再開発地域のよう。横須賀中央と汐入の間が横須賀の中心。 上り下りホームともに売店がある。今までの中央駅では見かけなかった施設…。
東口 Yデッキ ドル表記
表口とも言うべき東口。2階相当で、そのまま歩行者用デッキにつながっている。 デッキの名前は「Yデッキ」。横須賀のYとその形状とに掛けているのであろう。 この街ではココイチでもドルが使えるようである。ただし、円高傾向の模様。
西口 岡田屋モアーズ1F 役所屋
西口には裏口的雰囲気があるとはいえ、自動改札機が4台、駅員も常駐。 西口でてすぐの所に立つ百貨店「岡田屋モアーズ」。特にファストフードが充実。 モアーズ内にある横須賀市役所の市民サービスセンター、その名も「役所屋」。
記念艦三笠 SL型貯水槽 音楽噴水
日本海海戦の完全勝利が、その後誤った道を歩ませた気がしなくもない。 SLの静態保存と思いきや、実は災害時の非常用貯水槽。なかなか凝っている。 音楽に合わせて噴水が上がる。ドレミファ噴水パレスを思い出さずにはいられない。

・中央駅で食べる:ハニービーのハンバーガー

 横須賀で食べるといえば「海軍カレー」が普通なのでしょうが…それではあまりにも普通なので、アメリカンテイストあふれる店として有名な「ハニービー」に行ってきました。横須賀中央駅からは歩いて10分弱といったところ。ここだけを目的にしていくなら、汐入駅からの方が近いかもしれません。
 店がある場所は、米軍横須賀基地出入り口の本当の真っ正面。まさに道の向こうはアメリカというところにあります。
 お店も当然アメリカンテイストにあふれており、やたら高いカウンターやジュークボックス、日本では珍しいジュラルミン製(?)トイレ、Mサイズなのにビックサイズなコカコーラと、なかなか。お店のアルバイト募集チラシには「英会話ができなくても大丈夫です。」とあったものの、店の注意書きはEnglish Onlyだったりして、すぐに片言ぐらいはしゃべれるようになりそうです。この日も外国人(アメリカ人)のお客さんが数名いました。
 とはいえ、食べログで3.47を出しているだけあって、雰囲気のみならず、味の方も本格的。ボリュームはもちろんのこと、質の方もなかなか。ファストフードですが、カウンターの後ろでハンバーガーを焼いていたりして、ハンドメイド感にもあふれています。
 ここはタコライスも有名だそうで、金武でタコライスのおいしさに目覚めてしまった私としては、ぜひ次はタコライスにチャレンジしたいと思っています。

横須賀基地入口 憲兵隊による警告 ハニービー外観
この奥はアメリカ。のんびりした昼下がりとはいえ、独特の緊張感がある。 警告しているのは「米海軍横須賀基地憲兵司令部」。いわゆるMPですな。 ゲートの真向いにあるのがハニービー。非常にわかりやすい立地。
メニュー エッグバーガー 店内風景
メニューもすべて日英併記。雰囲気はまさに沖縄・コザ。あるいは金武。 写真では伝わらないが、結構なボリューム。ハンバーグ(パテ)もしっかり充実。 雰囲気もいいが、それを差し引いても十二分においしかった。再訪したいお店。

・中央駅の先へ:横須賀美術館

 横須賀美術館、複雑な思いをお持ちの方も多いかと思います。市街地から遠く離れた観音崎に、名所となっていた桜の木々を切り倒して作ったこの美術館。建設に当たっては、無駄なハコ物である、他に優先順位の高い事業がある、行きにくい場所で住民生活に身近ではないなど、強い反対運動がありました。とはいえ、市長の強力な推進もあり、2007年にオープンしています。
 実は、私自身、ちょっとだけこの美術館に関わっていたことから、横須賀に行く際にはぜひ訪問したいと思っていました。
 この日は、美術館内で児童・生徒造形作品展を開催。そのためか、家族連れが非常に多く、駐車場は満車状態でした。若干ずるい方法とはいえ、住民に身近な美術館を演出するにはいい方法です。
 常設展示の作品については、面白いものもぼちぼちあるものの、いまいち美術館としてのポリシーが伝わってこない…。地元作家や地元の風景に焦点を当てているようで、そうでもなかったりもするし、現代美術中心かと思いきや、近代美術も結構あるし…。総花的な印象がぬぐえませんでした。
 この美術館の良さはおそらく、眺望とそれを生かした建築でしょう。兵庫県立美術館もそうですが、最近の美術館は本当に建築物自体が美術品です。この日は天気に恵まれていたため、海の青とガラスの青、鉄の銀色と壁の白のコントラストが見事でした。春秋のぽかぽかした日は本当に気持ちよいと思います。
 作ってしまった以上、せっかくなので十分に活用して頂きたいところ。建築マップのページに書かれた危惧は私も持っていますが、都心からごく近いところに、ここまでのんびりとした気持ちよい空間があることが大きなアドバンテージ。ちょっと心が疲れた時、潮風を感じることができるリトルトリップ先としておすすめです。

横須賀美術館から海を望む 美術館入り口 美術館内部
美術館の前は広々とした芝生広場。ぽかぽか陽気の日は気持ちよさそう。 この日は児童生徒造形作品展が併催されており、家族づれが非常に多かった。 内部は白を基調に、ガラスを多用。円形の窓が効果的に使われている。
円形の明かり窓 屋上広場 観音埼灯台
一幅の絵になることを狙ったであろう、円形の明かり窓。写真映りはばっちり。 屋上広場の展望室。基準はよく分からないが、「恋人の聖地」らしい。 観音埼灯台は残念ながら公開時間を過ぎてしまっていた。またの機会に。
はたかぜ うみぎり 赤富士
観音崎で東京湾を出ていく自衛艦と遭遇。これは護衛艦「はたかぜ」4,600t。 次いで護衛艦「うみぎり」3,550t。次々に自衛艦が見れるとは、さすが横須賀である。 帰りのバスの中から綺麗な富士山が見えた。本当に天気に恵まれた旅だった。


リンク

サービス工房・役所屋(By 横須賀市役所)
記念館「三笠」公式ホームページ(By (財)三笠保存会)
ハニービー(By 食べログ)
横須賀美術館(By 横須賀美術館)
今、あえて税金で美術館を作る必要がありますか?(By 横須賀市議会議員・無所属・藤野英明)
建築マップ 神奈川県 横須賀美術館 (By By arch-Hiroshima)
「埼」と「崎」はどうなってるの?(By 海上保安庁海洋情報部)


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↑上のアイコンらしきものは横須賀美術館の特徴的な館内サインからとっています。問題があれば、ご連絡ください。


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