全国中央駅めぐり・その6 (埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)) −ニュータウン化しつつある街のあったか中央駅− 上越新幹線の建設に合わせて、見返りとして作られた新交通システム。赤字覚悟で仕方なく走らせているのかと思いきや、そこそこの乗客数もあり、経営状態も好転しているとのこと。鉄道博物館開館で一躍注目を浴びつつある、ニューシャトル沿線の中央駅を訪ねてみました。(2009年1月訪問、2009年2月掲載) | ![]() |
駅の所在地:埼玉県北足立郡伊奈町大字小室 | 駅周辺の基本情報(見える範囲で) | |||
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デパート | スーパー | |||
コンビニ | 郵便局 | |||
バスターミナル | 待機タクシー | |||
食堂・レストラン | ファストフード | |||
その他主な施設 | 駅改札が売店 | |||
・注釈 徒歩10分ぐらいのところに、町役場や町総合センターなどが立地していますが、周囲に商店街があるわけでもありません。むしろ、反対側の県道311号線沿いの方にドラッグストアだのコンビニだのが立地しています。 ただし、駅改札がイコール駅売店となっており、ちょっとしたものはここで手に入りそうです。 ・おことわり 当該データはいそべさとしがふらっと駅前を歩いて、感覚で調べたものであり、正確さには大いに欠けます。ご了承ください。 |
・中央駅を探訪:地域が支える近郊の小さな駅![]() 中央駅めぐりを始めて、駅を訪問する際には基本として「○○中央駅」と書いてある看板だの駅名票だのは念の為、写真に収めることにしています。ところが、この駅にはやたら「伊奈中央」と書かれた看板だのサインだのが多い。それも決して統一されておらず、ロータリークラブだの町役場だの個人だの、いろんな主体が設置しているのです。 そもそもこの路線は、上越新幹線の建設に伴い町が3分されてしまうことへの代償措置として作られた新交通システムです。同様の理由でできた鉄道に埼京線がありますが、大宮以北はそれほどの交通量も見込めないということで、新交通システムになりました。それも、自動運転でなく、ホーム扉もなく、途中からは単線。駅についても経費削減のために売店併設とし、売店のパート店員が駅の清掃などを行うシステムにしたそうです。それでも当初は赤字続きで、経営も楽ではなかったようです。 とここまではよくある話なのですが、それでほっておかなかったのが偉いところ。埼玉県が主導して沿線に日本最大の高校(伊奈学園総合高校)を作ったり、がんセンターを作ったりと沿線開発に努めました。また、首都圏からそれほど遠くないという地の利もあり、いまや伊奈町の人口は4万人越え。そして、鉄道博物館の開館により、ニューシャトルの経営はさらに安定したと想像できます。 ![]() ニューシャトルが愛される理由の一つは、先にも述べた「売店の店員が駅員を兼ねている」というところにもあるでしょう。私が訪問した時も、降りる際に「ありがとうございました」、帰る際に「気をつけて」と声をかけてくれました。また、有人であることから駅も非常にきれいです。無人駅というのはいくら趣があってもどこか底冷えがするものです。伊奈中央駅は決して趣のある駅ではない、むしろ鉄とコンクリートの趣がない駅ではあるのですが、人がいることによる暖かさが感じられる駅でもあるのです。 伊奈町は早晩、市に昇格するのでしょうし、駅周辺もどんどん開発されていくことでしょう。でも、地域で支えるという田舎ながらの良さはいつまでも残した伊奈中央駅であってほしい。そう願っています。 |
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新交通システムなのにホーム扉がない。そのため、ローカル私鉄的な印象。 | 羽貫駅の方にショッピングセンターなどが立地し、中央駅とはいえ静かな駅。 | 自動販売機が1台のみ設置。ただし、SuicaもICOCAも使用可能。 |
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駅ごとにカラーを決めているらしいが、駅名票などには反映されていない。 | もともとは静かな農村。鉄道で町が3分割されてしまうという危惧はよく分かる。 | 町の花と町の木のモザイクをあしらった公衆トイレ。地域で鉄道を支える。 |
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その名も懐石料理「さとし」。昼はリーズナブルな値段で食べられるよう。 | 最近は都市部でも見かけるようになった「しまむら」。勝ち組企業の一つ。 | アナゴのてんぷらと日本酒がうまいらしい。ぶらり途中下車の旅にも出たそう。 |
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老人福祉センター、コミュニティセンター、児童館、保健センターが同居。 | 人口4万人とのことであり、合併していれば完全に市になれた大きさ。 | 駅の周囲は造成地が多く、まだまだ発展の余地がある。 |
・中央駅で食べる:伊奈一のラーメン Googleで「伊奈町」と検索すると、他のキーワード候補に「伊奈町 ラーメン」と出てきました。どうもこの町はラーメンが有名なようです。ということで、「埼玉の伊奈町ラーメン食べ歩き」というホームページに載っていた「伊奈一」に行くこととしました。伊奈町では老舗の一軒だそうです。 伊奈町総合センター前にある、大きな木の下の古ぼけた一軒家、ラーメンというのれんが掛かっていなければ、資材小屋と間違ってしまいそうな建物が「伊奈一」で、多少入るのに勇気がいりました。午後4時過ぎと言うこともあり、お客さんは私一人。もつ煮込みもおいしいそうなのですが、あまりおなかも空いていなかったので、ラーメン400円のみを注文しました。おばちゃん1人でやっている店のようで、お茶を入れ、ストーブを付けてくれました。 で、出てきたラーメンが下の写真。400円というのに相当本格派です。若干甘めの醤油スープがなかなかよろしく、麺ともよく合っています。気が付けば、あっという間に一杯ぺろっと食べてしまっていました。400円でこれだけのラーメンが食べられるとは…この店がかなり変わっているというのもあるのでしょうが、伊奈町民、うらやましいです。 |
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かなりあやしい。「ラーメン」の暖簾だけが新しいのがちょっと不釣り合い。 | お客さんが作ってしまったというメニューが張り出されている。どれも安い。 | 400円とは思えないクオリティ。関東らしい、あっさり甘め醤油味のラーメン。 |
・中央駅の先へ:大宮大成鉄道村 ニューシャトルといえば鉄道博物館を取り上げるべきなのでしょうが、それはちょっとおいておいて、鉄道博物館駅と加茂宮駅の間にある「大宮大成鉄道村」を取り上げます。実は、伊那中央駅から近いところ(ニューシャトル沿線)に泊まろうと調べていたところ、ここが引っかかったのです。 鉄道博物館人気にあやかって改装したスーパー銭湯といってしまえばそれまでなのですが、実は「ジェイアール東日本都市開発」が経営している本格派。SLや寝台列車を模した外観のみならず、Nゲージの本格的なジオラマがあったり、普通ならば隠すであろう線路際の窓が大きく取られていたり、食堂にひそかに蒸気機関車の汽笛が飾られていたりと、鉄心をくすぐられる施設となっています。 お風呂は「でごいち風呂」という愛称が付いているものの、基本的にはごく普通の温浴施設。子供用の非常に浅い浴槽(ちびっこ風呂)があるぐらいがちょっと違うところでしょうか。うれしいのはお風呂のエリアに冷房の効いた「冷温室」があることで、いったん体を冷やしたあと、またお風呂に入れます。他の温浴施設でも作ってほしい施設です。露天風呂もごく普通ですが、男湯からは上に機関車(?)の前面を望めます。このあたりが「でごいち風呂」なのかもしれません。 宿泊施設は名前こそ「寝台特急北斗星」と鉄分が濃いものの、中に入れば普通のビジネスホテルの趣です。木目調の落ち着いた仕上がりになっており、土足でないためか、開設からまだ1年ちょいと新しいためか、ピカピカという印象を受けました。毎日、館内着+タオル・バスタオル+アメニティのセットを貸してくれてお風呂入り放題、オムレツをその場で手作りしてくれる朝食付きで1泊6千円というのは、ビジネスユースとして考えてもかなりお得といえます。部屋には聖書の代わりにJR時刻表(大判)が置かれているところなどは、さすが鉄道村といえます。 鉄道博物館訪問の際など、話の種に是非。日曜日は家族連れも多かったですよ。 |
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鉄道博物館駅からは徒歩約10分といったところか。一本道であり分かりやすい。 | 旧国道側はSLを模した外観。横にはニューシャトルと新幹線が走る。 | このSL部分は夜になるとぼんやりと光る。露天風呂がこの真下にあり良く見える。 |
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食事もジオラマを見ながらor高崎線を見ながら。子ども&鉄道マニア向けか。 | Nゲージで作られたジオラマ。しかし、出てくる料理は割と本格派でおいしい。 | 客室は至って普通。北斗星ロイヤルとの違いは、シャワーがないぐらいか。 |