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 全国中央駅めぐり・その2

「伴中央駅」
(広島高速交通・アストラムライン)
−ニュータウン新線のオールドタウン中央駅−


 広島の中心街から郊外へぐるっと「つ」の字を書いたように伸びる広島高速交通・アストラムライン。その途中に「伴中央駅」があります。典型的なニュータウン中心駅かと思いきや、周辺の地図などを見るとどうもそうでもないようです。なぜ中央という名前が付いたのか、それ自体を疑問に持ちつつ、訪問してみました。(2009年1月訪問、2009年1月掲載)
中央駅駅舎
[中央駅類型:ニュータウン新線途中駅型]


駅の所在地:広島県広島市安佐南区沼田町伴 駅周辺の基本情報(見える範囲で)

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施設種別
有無
施設種別
有無
デパート
×
スーパー
×
コンビニ
○(ポプラ)
郵便局
×
バスターミナル
×
待機タクシー
×
食堂・レストラン
ファストフード
×
その他主な施設 広島市西風新都整備部
・注釈
 バスターミナルの×:バス停はありますが、ターミナルとはいえません。それも時刻表すら貼っていない…。
 レストランの○:わたやという民芸風和風レストランが駅前にあります。もともと「コットンハウス」という喫茶店さんだったそう。そのままやん…。

・おことわり
 当該データはいそべさとしがふらっと駅前を歩いて、感覚で調べたものであり、正確さには大いに欠けます。ご了承ください。


・中央駅を探訪:オールドタウンの中央駅

 中央駅と名前がつく駅は大きく分けて「ニュータウンの中心となるように名付けられた駅」か「先に○○駅があり仕方なく名付けられた駅」の2タイプがあります。この伴中央駅は、広島中心部とニュータウン(西風新都)とを結ぶアストラムラインの駅とは言うものの、ニュータウンの中心に直接乗り入れているわけでもなく、一方で「伴駅」はあるものの同時開設ということもあって、いろいろと調べたり聞いたりしたものの、いまいちその命名意図がはっきりしませんでした。
 そこで、いろいろと歩き回ってみたのですが、どうやら、この駅周辺はもともと「中央」という小字名だったようなのです。
 伴交番横に「沼田町伴・大塚の史跡案内板」というのがあり、これには中国自動車道・中国横断自動車道は書かれているものの、アムストラムラインが載っていません。そして、この地図を見ると、伴派出所(現在は交番)の周辺の小字名が「中央」となっているのです。
 案内板の中に「北農協」という記載があり、広島市の農協が大合併をしたのは1993年ということですから、少なくともそれよりは前に作られたものと思われます。アムストラムラインの開設は1994年ですから、意図的に鉄道を書かなかったわけでもなく、明らかにこの「史跡案内板」の方が古いといえます。
 たしかに、この一角には消防団詰所・交番・集会所・JA・内科医院など、地方の小集落に欠かせない公共的施設が立ち並んでいます(郵便局がないのは残念ですが)。さらに、地理的にも、伴地区の中央で、奥の奥畑地区や瀬戸地区から降りてくる道もここに集まります。「中央」といっても何の不思議もないように見えます。伴地区に駅ができるとき、昔からの中央であったこの地域にできる駅に「伴中央駅」と名前を付けるのは必然だったようにも思えます。ニュータウンの中央駅ではなく、オールドタウンの中央駅。意外な発見でした。
 現在は、ニュータウン(西風新都)への連絡道路となっているアストラムライン下の道(県道265号、県道71号)沿いの方に店がシフトしているようですが、昔の中心地からも駅からも歩いていける距離にあり、それぞれに微妙なところで調和を保った、暮らしやすそうな、そして散歩の楽しそうな町になっています。
 ちなみに、伴中央駅付近で何といっても目立っているのが「梶「□○(みよまる)」の看板と屋上から顔を覗かしている虎のバルーン。アムストラムラインからもすぐにわかります。別に企画会社などではなく、オフィスやトイレのパーティションを製作し、ISOを獲得し、九州にも進出しているなど、そこそこの会社のようです。ただ、ホームページを見てもわかりますが、口座番号や資本金まで「ミヨマル」に合わせ、過労死が起きないように商品名を「リラックス」とし、社長は「歩く広告塔」として紅白の背広を愛用しているなど、かなりぶっ飛んだ会社とも見えます。
 アストラムライン21駅中最低の乗降客数である伴中央駅。とはいえ、面白い側面が、まだまだありそうです。
 

雪の伴中央駅へ 駅名票 2階ホーム
結構標高があるらしく、雪景色。ただ、日ごろの行いが良いので晴れてきた。 アストラムラインは駅カラーがあり、伴中央駅は濃いグリーンが使われている。 新交通らしくホーム扉付き。冬は暖かくてよいが夏は暑そうで、扇風機がある。
1階コンコース 専念寺とイチョウの木 西風新都整備部
自動改札2台+駅員室+券売機2台というのがアストラムラインのデフォルト。 浄土真宗の古刹・専念寺と大イチョウ。秋には綺麗に色づくらしい。 駅からすぐのところにある広島市都市整備局西風新都整備部。プレハブ?
株式会社△□○ 消防団・交番・集会所 伴中央集会所
株式会社△□○。側面の窓まで△□○にしているとは恐れ入りました。 消防団詰所、交番、集会所が並び、その手前はJA。伴地区随一の官庁街? 集会所の名称は「伴中央集会所」。明らかに駅よりは前の命名と思われる。

・中央駅で食べる:醤の館「醤油ソフトクリーム」

 伴中央駅からあるいて2,3分のところに川中醤油の工場があり、その一角に直営店「醤(ひしお)の館」があります。
 当然ながら醤油を購入したり、味見をしたりすることができるのですが、中でも有名なのが醤油ソフトクリームです。結構全国各地にあるようなのですが、ここはごま・くるみ・ゆずのトッピングをしてくれるというのが一味違います。今回はゆずのトッピングにチャレンジしてみました。
 独特の風味を期待したのですが、それほど醤油・醤油しておらず、かなりマイルドです。ただ、途中で「きなこトッピングもあうかも」と思ってしまったぐらいで、やはり和風スイーツというイメージでした。醤油を入れれば何でも和風になる、と聞いたことがありますが、そうなのかもしれません。
 醤油を前面に出したというより、いやらしくない程度に醤油感を出すことに成功しているともいえそうです。和風のためか、冬の方がどちらかといえばお薦めかなと思ったりもします。

醤の館 醤油ソフトクリームゆずトッピング かきだし醤油
観光バスを受け入れている風でもなく、意外とこじんまりとしたお店。 色もそれほど醤油色はしていない。1つ250円(トッピング込み)也。 広島みやげということで、かきだし醤油を購入。湯豆腐などに活躍しそう。

・中央駅の先へ:広島新交通システム橋桁落下事故の現場

 広島の新交通システムが全国的に有名である理由…それは、この橋桁落下事故ではないかと思います。工事中にジャッキアップ作業中だった橋桁が落下して、下にあった車などをぺしゃんこにつぶし、作業員5名を含む15名がなくなる事故が発生したのは、1991年。ちょうど、バブル景気がはじけつつある頃でした。
 その事故があった場所は、伴中央駅から本通駅方面へ5つ目の駅、上安駅のすぐ西側になります。もはや現場には、慰霊碑のほかに何も事件の痕跡は残っていません。ただ、慰霊碑には事故の名前も書かずただ「慰霊碑」とだけ刻まれていること、裏面にある「再びこのような事故が発生することのないよう工事の安全を祈念して」という微妙な言い回しに、人災の難しさ、亡くなった方だけではなく残った人々(被災者家族のみならず、工事関係者や工事発注者も含めて)の傷跡も、また感じずにはいられません。
 この事故のあと、建築現場における安全基準が強化されたということです。4年後に起こった阪神・淡路大震災ではあれだけとんでもない突貫工事が異常な密度で行われたにもかかわらず、一般市民を巻き込むような死亡事故はおそらく起こっていません。15人の犠牲も、十分に生かされたのでしょう。
 突然に人生を奪われてしまった15名の方のご冥福をお祈りいたします。

慰霊碑 慰霊碑の裏面 事故現場となった交差点
慰霊碑には今もだれかが花を手向け、お線香をあげた跡が残っていた。 この事故で15人の方々がなくなった。同じ名字が並んでいるのは家族だろうか。 現場は車が頻繁に行きかう交差点。閉鎖できなかったのも分からなくはない。


リンク

伴中央駅(By Wikipedia)
ひろしま西風新都(By ひろしま西風新都開発推進協議会)
株式会社△□○(By 株式会社△□○)
醤の館(By 川中醤油)
広島新交通システム橋桁落下事故(By Wikipedia)


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