全国中央駅めぐり・その4 (横浜新都市交通金沢シーサイド線) −成熟期を迎えつつあるニュータウンの裏玄関中央駅− 埋立地に走る新交通システムの途中駅型中央駅。周囲に広がるのは林立する住宅団地と工場群。地図を見た時、「本当に何にも行くところないかも…」と思ったのがこの並木中央駅でした。ところが、調べ出してみると、残された自然や地域づくり活動などもある、なかなか奥が深い街でした。(2009年1月訪問、2009年2月掲載) | ![]() |
駅の所在地:神奈川県横浜市金沢区幸浦 | 駅周辺の基本情報(見える範囲で) | |||
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デパート | スーパー | |||
コンビニ | 郵便局 | |||
バスターミナル | 待機タクシー | |||
食堂・レストラン | ファストフード | |||
その他主な施設 | 横浜新都市交通本社・車庫 | |||
・注釈 主な施設は徒歩5分ほどのところにあるショッピングセンタービアレ周辺に集積しており、駅があるのは街の裏口。なので、駅前にはほとんど何もありません。 ただし、駅改札内にトイレがあります。また駅員もちゃんといます。シーサイドライン途中駅では唯一です。 ・おことわり 当該データはいそべさとしがふらっと駅前を歩いて、感覚で調べたものであり、正確さには大いに欠けます。ご了承ください。 |
・中央駅を探訪:成熟期を迎えつつある街の裏玄関![]() ところが、駅を降りたところ、そこに広がるのは緑地帯と高層マンション群。駅前商店街だの駅前ショッピングモールだのというものは一切ありません。郵便ポストが1つあるだけで、コンビニすら見当たらないのです。 というのも、シーサイドラインの方が後からできた上に、騒音を嫌ってか緑地帯の向こうを通っているため、都市の中心部を走っていないのです。つまり、駅は街の裏側にあることになります。では、都市の中心はどこかというと、南東に歩いて5分ほどのところにあるショッピングセンター「ビアレ横浜」であったり、北東に歩いて5分ほどのところにある「シーサイドセンター」であったりします。「ビアレ横浜」前のバス停の名前は「並木中央」。確かにこちらのほうが「中央」という名前がピンときます。 街歩き的に面白いのは、並木地区も1丁目、2丁目、3丁目でかなり雰囲気の違うところ。1丁目はきれいに縦横がそろった区画になっているものの、2丁目は縦横無尽な区画、行き止まりの道路、高さの異なる建物の林立などと独特の雰囲気があり、逆に3丁目になるとまた綺麗に縦横がそろっています。(もし興味があれば、地図を大きくしたうえで、「航空写真」を選択してください。雰囲気が分かると思います。)それぞれ開発時期が違うらしく、2丁目の時代は、ちょうど「人間性の回復」とかいって規格的ではない街並みが好まれた時期にあたるのではないかと思います。筑波研究学園都市(特に一の矢宿舎地区)と似ており、妙な既視感がありました。 ![]() 古くからのものを大切にしているせいでしょうか、住民の高齢化を逆に地域への愛着に変えていく取り組みも進んでいるようです。「富岡並木調査隊」や、その発展形である「NPO法人らしく並木」の活動は、ホームページをじっくり読みこんでしまうほどに積極的かつ多彩です。ふるさと並木を作っていく活動が少しずつ広がっているんだろうなと実感できます。 成熟期を迎えつつあるニュータウンとその裏玄関口・並木中央駅。これからどのように変わっていくのか、地中で静かに埋まっている松並木もじっと見守っています。 |
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他のシーサイドラインの駅と違い、ホームは方面別。中央駅たるゆえんか。 | 駅名票はシール式。並木中央駅の住所は幸浦だが、駅名としては隣の駅になる。 | 新交通らしく扉ドアも付き。待ち合いの椅子もシーサイドラインカラーでおしゃれ。 |
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バリアフリー化工事実施中。駅員さんもガードマンさんも非常に礼儀正しい。 | 横浜新交通の本社。横に車庫と検査場がある。10人以上なら見学も可能。 | 日本最大の2,400kw風力発電施設らしい。三菱重工業横浜製作所金沢工場内。 |
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シーサイドラインは緩衝緑地帯に沿っており、西側から見ると森の中の駅のよう。 | 無機質だったであろう箱型一戸建ても、年月がたち、いい味を出してきている。 | 岡本太郎のモザイク画「海辺の太陽」。剥落部分が目立ったのが気がかり。 |
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船だまり横のシーサイドセンターには東急ストアが入居。一般商店も頑張っている。 | 金沢シーサイドタウンを代表する光景としてよく出てくるが、完全に逆光。 | 船だまりから、富岡八幡宮、横浜市並木富岡地区センターを臨む。 |
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船だまりに設置されていた「礎石」。昭和46年、並木地区埋め立て時に設置。 | ジャスコを核テナントとした「ビアレ横浜」。古いモールの割にはよく人が来ていた。 | ビアレ前のバス停が「並木中央」。確かに、この場所の方が中央にふさわしい。 |
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貴重な生態系が維持されている長浜公園。野鳥の観察小屋が設置されている。 | 長浜野口記念公園内にある野口英世ゆかりの旧細菌検査室。 | 保存に至る過程は、「プロジェクトX」になりそうなほどいろいろあったらしい。 |
・中央駅で食べる:李園の牛バラ角煮丼 並木中央はニュータウンだし、あんまり変わった食べ物はなさそうだなあと思っていたのですが、さすがインターネットの世界、彷徨っていればいろいろと見つかるもので、面白そうな店と料理を発見しました。 ということで、今回は並木中央駅から徒歩約5分、ビアレの中にある「李園」で食べました。一見、期待できなさそうなスーパー横の中華料理屋なのですが、一歩店に踏み入れると、そこはリトルチャイナ。店の主人は見守るだけ、厨房と店は窓でつながっているだけ、店員は中国語でオーダーを通す。ごちゃごちゃした店の中を見渡せば、毛沢東の肖像画。雰囲気あり過ぎです。 で、頼んだのは「牛バラ角煮丼」。ところが、これも「丼」と言いながら、牛バラ煮込みとご飯は別々に出てきます。なぜ丼と名乗っているのでしょうか?ともあれ人気の一品らしく、周囲の人もみなこれを頼んでいます。 味はどちらかといえば醤油辛めの味付けで、それが角煮の下に敷いてある白菜や大根(これは茹でただけにみえます。付け合わせなのでしょうか)と非常にマッチしています。広東料理というよりは、上海料理に近いのかもしれません。角煮はしっかりと自己主張しつつも、十分柔らかくなっています。見た目はいまいちですが、ご飯がどんどん進みます。 スープが付いて、さらに口直しの杏仁豆腐までついて700円。牛肉をごろごろと使っていること、横浜の物価を考えれば、十分お得です。並木中央訪問の際には、ぜひ雰囲気と味を体験してみてください。 |
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少しあやしいものの、スーパーの一角にある普通の中華料理屋の外観。 | 中に踏み込むと、毛沢東の肖像画が迎えてくれ、中国語が飛び交う。 | 牛バラ角煮定食ではなく、牛バラ角煮丼。どう見ても丼ではないが…。 |
・中央駅の先へ:横浜市中央卸売市場南部市場 並木中央駅から3駅新杉田側に行ったところにあるのが南部市場駅。この駅の真東にあるのが「横浜市中央卸売市場南部市場」です。今回は夜行バスで関東入りしたため、ここで朝食を頂くことにしました。最近、卸売市場が不便なところに移転するケースも多いなか、ここは駅を降りると目の前が市場の玄関口になります。行きやすさではかなり高レベルです。 卸売市場というのは当然、卸売業者や小売業者のためにある市場であり、一般客お断り、またはあまり歓迎されていないことがほとんどです。ところがここ、南部市場は便利な場所にあることもあってか、一般客Welcome、イベントまでやっています。ホームページも、ブログがあったりとなんだか充実しています。それでいて、価格や新鮮さは卸売市場レベル。なかなかお得です。 刺身類なども新鮮で安く、購入したくなったのですが、今回は旅の身、あきらめて食堂利用だけにとどめました。 奥の方の水産棟にもいい食堂があるそうですが、今回は関連棟の奥にある「南部亭」でいただきました。南部亭というのは寿司・ラーメン・洋食・和食の4店舗のフードコート(というほど立派なものでもありませんが)。お寿司も引かれたのですが、ネットで評判の良かった「和食蒔田」の穴子天ぷら定食を頂きました。大きな穴子が2本のっており、身も厚く、ぷりぷりしています。千円は市場価格としてはちょっと高いかなと思いましたが、十分にそれだけの価値がある一品でした。 ちなみに、この南部市場の北側と駅をはさんで東側には在日米軍の「富岡倉庫地区」が広がっています。今は何も使われておらず返還交渉の対象となっているものの、なかなか話が進まないようです。基地県・神奈川の実態をちょっとだけ垣間見ました。 |
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南部市場駅を降りてすぐのところにある関連棟。食堂は一番奥右側にある。 | 穴子天ぷら定食とマグロ中オチ定食がお薦めのよう。ご飯はどんぶり飯サイズ。 | 英語表記の方が先にあるのが、その地位や関係を如実に示している。 |