研究科27期・舞台技術学校19期「がんじがらめの垣根から」
原作:ケン・キージー「カッコーの巣の上を」より
美術プラン・製作・操作 舞台技術学校19期美術コース
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[パンフレット掲載のあらすじ]
時代は60年代、アメリカのある精神病院。
ここ、急性患者病棟では、それぞれ心に傷を負った女性たちが生活し、治療を受けている。
そこへ新しく一人の患者が入ってきた。前科に加えて、殺人未遂の裁判で精神鑑定が必要と診断されたのだ。
病院に反発しながらも、他の患者たちと交流するうちに、ある現実と直面して…。
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基本舞台(開演前を含む) |
後方のパネルが倒れ、コードを振り落とし(ラストシーン) |
決して明るくも温かくもないものの、どこか居心地が良く、そこから出て行くことがままならない「精神病院」という「カッコーの巣」を、3種類のベージュで塗られた網パネルによって表現。その形状は、主要登場人物であるチーフの心象風景ともオーバーラップするよう、どこか山並みを思わせる形となっている。上手側には、袖奥から延びてくるスロープがあり、この場面が地下室のような一種の閉鎖された空間であることを暗示するとともに、上手舞台前に配置された巻きコードと相まって、舞台に緊張感を与えている。
また、上手・下手の網パネルを立てるために必要な人形立てについてもデザイン化。舞台セットとしての強度・安全性を確保するとともに、単調・平板になりがちなセットにアクセントを与えている。
作品で重要な役割を果たす「分電盤」とそこから舞台上方へと延びるコードにより、この場が大きな組織(社会)により管理されているという状況を暗示。下手側の吊り点には網パネルで使用したものと同じ網を巻いており、ラストシーン、振り落とされたコードとこの吊り点をチーフが乗り越えていくことにより、「がんじがらめの垣根に囲われたカッコーの巣から一羽の鳥が飛び立っていく」という、象徴的な意味も与えている。
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