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僕の舞台技術学校日誌
4月(2009.4.22〜4.24)


21.4.22 入学式・オリエンテーション
 入学式。演劇学校本科27名、研究科8名、舞台技術学校20名。全体で50名ちょいのために、県知事や劇場運営委員会の委員長、県の部長、芸術文化協会の理事長などそうそうたる面々が集まっている。さらに、奥にはピッコロ劇団のプロの役者さんたちがずらり。ここまで本格的かつ立派な入学式とは思っていなかった。「小屋付き学校」としての期待をひしひしと感じる。
 県知事さんも、とおり一遍の話ではなく、しっかりと自分の言葉で語っておられたように思える。そのほかの人も、さすが演劇に携わっている方々、話の筋もはっきりしており、声の抑揚なども流石で、非常に素晴らしいスピーチであった。おそらく、これまで出たどのような入学式よりも話を聞き込んだ気がする。
 ちなみに校歌斉唱があり、楽譜が配られたが、これがフラットが5つもあったり、途中で4分の3拍子から4分の4拍子に変わったりと、非常に難しい歌(もともと卒業公演で使われた劇中歌とのこと)。とても追い切れなかった。ある意味、さすがである。

 オリエンテーション。中ホールに移って、今後の流れなどを主任講師の方々から聞く。
 7月の「舞台機構操作実習」「クラシックコンサート実習」、10月31日・11月1日の「合同前期発表会」、12月上旬の「軽音楽ライブ実習」、1月中旬の「歌謡ショー実習」、3月6日・7日の「卒業公演」と、実際に触れて見て考えてやってみる機会が盛りだくさん。それぞれの実習に向けて、少しずつ技術を習得していくというカリキュラムになっているようである。もう少しじっくりと理論も学ぶのかなと思っていたのだが、やはりOJTに勝るものはないのだろう。その分、休むとあとあと非常に大変そうである。
 とはいえ、みんな何らかの仕事なり学業なりを持っている模様。今日の入学式も時間きっかりに来れた人は半分ぐらいで、残りはパラパラと揃っていったようである。「全く無理をしないでもいいとはいえないが、どうしても無理な時があるのも当然のこと。うまく周囲で助け合って続けてほしい」と先生から。少しだけ気が楽になる。
 先生方の話はいろいろと得ることがあったが、やはりと思ったのは「一番大事なのは安全」ということ。これは曲がりなりにも舞台に携わっている者にとって、最も重要な事柄である。私も市民劇団時代にそれをたたきこまれた気がするし、劇団にいた子どもたちに対してもそれだけは絶対に譲ることはしなかった。降りていく緞帳をすり抜けようとした子どもたちをきつくしかったことは今でも覚えているし、後から「あのときは人が変わったように怖かった」という感想も聞いた。夢をかなえる舞台だからこそ、特にスタッフは常に冷静に、現実を見つめ、撤収が完全に終了するまで安全を確保しなければならない。改めて、あの日々を思い出した。
 残念なのは、早速金曜日の授業から遅刻せざるを得ないこと。とはいえ、金曜日の仕事の会議は私も大切にしている会議であり、これをすっぽかしたり途中で抜けるわけにもいかない。やはり仕事あっての趣味という部分もある。ただ、できるだけ早く終わってくれることをひたすら祈るのみである。

※公式ブログでも、舞台技術学校担当のNさんが入学式の記事を書いてくださっています。名前を呼ばれて立ち上がっている写真に、実は私が写っていたり。フレッシュな…良い言葉だなあ。

21.4.24 劇場の機構と設備(演劇学校と合同授業)
 1回目の授業。しかし、仕事の都合で20分ほど遅れて合流。
 ピッコロシアター大ホールを実際に回りながら、劇場の機構や設備を紹介してくれる。以前、オープンキャンパスの時に1度見せてもらっているので大まかなところは知っているが、やはり実際に学校生としてみるのは真剣度が違う。所作台と平台の違い、箱馬の寸法、「さぶろく」「ろくろく」という呼び方など、10数年前は確実に分かっていたのにということが結構あった。やはり大きなブランクを感じなくもない。
 嬉しいことに、講師の先生が制作された「舞台用語の基礎知識」なるテキストが配布された。これが実に詳しく、またなかなか面白い。「そうそう」とか「へぇー」とか自分で突っ込みながら一気に読んでしまった。次の授業まで時間があるので、良く勉強しておこう。
 こういう舞台機構が大好きなのは自分でも自覚しており、そういう意味では美術コース志向なのだが、絵を描けない中でどこまで通用するか不安なのと、せっかくだから高額な機械をいじることができる照明や音響をやってみたいというのもある。もう少し考えてみよう。
 休憩後は、オリエンテーションのつづき。学校生としての生活について。舞台技術学校生は演劇学校本科の、演劇学校生は舞台技術学校の授業に出席してよいとのこと。さすがにそれだけの時間的余裕と身体的能力はない気がするが、もし面白目のものがあれば、見学させてもらうのもよいかもしれない。今年は、校外学習(遠足)も本科と一緒、卒業公演も本科側のものを制作するそうで、演劇学校本科と舞台技術学校の相乗効果を狙っているようにも感じる。
 今日は数少ない演劇学校との合同授業。たくさん人がいたため、どの人が舞台技術学校生でどのひとが演劇学校生なのかが一目では分からない。胸名札などをささっと確認したところ、若くて元気の良い女の子とイケメン男性は演劇学校生が多く、舞台技術学校生は全体的に落ち着きがある気がする。あくまでもざっとした感想だが。
 授業終了後、出席番号が隣のOさんに誘っていただき、近くを歩いていた女性2人も誘って、一緒に駅前のモスバーガーへ。これまでの来し方や現在、今後への不安など、いろいろと語りあった。いろんな思いが共有できて、本当に貴重な時間だった。
 中には大学4回生の方もいたが、よく考えてみると、僕が市民劇団をやっていたときの小学4年・5年組の女の子たちとちょうど同じ年(締まりかけの緞帳の下をくぐって叱ったのがこの子達)。彼女達はいまどうしているのかな…とちょっと振り返ってみたり。

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