この日も快晴。ホテルの窓の外には廃墟が広がり、ヨーロッパの古い街にいることをまさに実感。歯の痛みも治まってきて、とりあえずは一安心。 | この日もまずはお散歩。ヴィスワ川沿いに出てみた。川沿いの街の城壁が結構残っており、これも実に中世風。ホテル1231はヴィスワ川からもほど近い。 | トルンの街はバルト海から琥珀を運ぶ川沿いに栄えた町。今もゆったりと川が流れている。向こうに見える橋はトルン市街駅とトルン中央駅の間の鉄道橋。 |
ヴィスワ川から城壁の間の門を抜けて聖ヨハネ大聖堂へ。トルンに現存する建物の中で最古のもので、13世紀に起工。どっしりずっしりとした、男性的な建物。 | 一方、内部はバロック風やロココ風のかなり派手な装飾。とはいえ、それぞれ年数を経ており、派手と言ってもきらびやかなだけでなく、どこか落ち着いている。 | ステンドグラスなどで彩られた他の装飾とは違和感が大きすぎる、祈る男性の壁画。なぜここだけにこのような絵が描かれているのか、大変興味がある。 |
トルンは地動説を唱えた天文学者コペルニクスが生まれた町としても有名。コペルニクスの生家はこの2軒のうちどちらかとのこと。うーん、あいまいだなあ。 | 聖ヨハネ教会と並ぶ大教会・聖母マリア教会。カトリックとプロテスタントで取り合った歴史があるとか。高い天井から降り注ぐステンドグラスの明かりが綺麗。 | 旧市庁舎内の博物館は月曜日休館だとか。正直そのあたり、調査ミス。とはいえ、塔は年中無休らしいので、10ズロチ払って登ってみることとした。 |
旧市庁舎の塔の途中にあった鐘。割と原始的な吊るし方。ちなみに、一番上で写真をとっていたときにこれが鳴りだしたが、かなりの衝撃が伝わってきた。 | 塔の上から、ホテル1231方面。中央付近に見えるのが、ドイツ騎士団城跡の塔(汚物を破棄した塔)。まさにヴィスワ川に抱かれた町といった印象。 | 写真の聖霊教会は現在、プロテスタントの教会とのこと。カトリックとプロテスタントというのは中欧のキータームだが、日本人にはなかなか分からない部分がある。 |
トルンのシンボルでもあるコペルニクス像を真上から撮影。世界遺産ではあるが意外と観光客は少なく、ポーランドの素顔が見えるお薦めの街である。 | トルンの城壁沿いにある斜塔。ピサと同じく建設途中に傾きが分かったので、内部はちゃんと平行に作っているとのこと。今はレストランになっている。 | ホテル横にあった新しい劇場。日曜日にはダンスの発表会があったようで、小さな女の子であふれていた。ポーランドは本当に演劇などのパフォーマンスが盛ん。 |
ホテル1231に戻ってランチ。この「マッシュルームとザリガニのスープ」もまた絶品。深く心にしみわたる味。ポーランドのスープは本当に外れがない。 | メインは薄切り牛肉のロール巻き(ズラズィ)とソバの実。ビーツ(ブラチュクフ。赤砂糖大根)が、甘い中にも酸っぱさがあって、絶好の口休め。 | トルン中央駅のひとつ前の駅であるトルン市街(Miasto)駅からポズナンに向けて出発。小さくてかわいらしい駅だが、ちゃんと駅員もいるし売店もある。 |
SLはポズナン駅でもかなり遠いホームから出発。写真をとる人もいるが、地元の人には珍しくないらしく、人々が淡々と列車に吸い込まれていく。 | 運転士さんに「どうぞ」といわれて運転席に。観光客にも慣れている様子だが、英語は全く通じない。「日本」という単語は聞き取れたので、そうだと答える。 | 運転席。鉄道博物館でシミュレータもやったが、やはり実際のSLというのは音や暑さが全然違う。どこも綺麗に磨かれていて、とても大切に使われている様子。 |
本物のSLの旅を満喫していたのであるが、途中で突然、大きな音とともに急停車。動かなくなってしまった。さすがにそのうち、乗客もがやがや言いだした。 | 先頭のSLまで見に行ったところ、どうも故障してしまった様子。運転手さんたちが必死で修理していた。まあ、これもいい経験だなと思ってはいたが…。 | なかなか直らず、日はどんどんと暮れていく。ここからポズナンまで戻っても問題はないが、ポーランド語で説明されても困るしなあとだんだん不安になる。 |
40分ぐらいで何とか修理完了。恐る恐る出発したが、なんとかいけそう。ただ、この修理によるタイムロスでウォルシュティン折り返しが相当困難になってきた。 | 仕方なく、途中のラコニエヴィッツ駅でウォルシュティン始発ポズナン行き列車を待つこととした。無人駅ではなかったが、周囲にはただ暗闇が広がるのみ…。 | 駅の時刻表を見ると、ちゃんと19時54分にポズナン行きが来ることになっている。手元にネットで調べた時刻表があったものの、とりあえずは安心。 |
異国の全く知らない街の、全く知らない駅で、一人列車を待つのは相当不安なもの。そうでないときに見れば、趣のある建物・綺麗な花壇だったと思うのだが…。 | ポズナン行きの列車は遅れることも無く無事到着。SLとは打って変わって、ポーランド国鉄が誇る最新鋭の地域輸送列車pesa。このアンバランスさもポーランド。 | ポズナン駅構内のケンタッキーで夕食。SLは大変だったが、今となればいい経験だった。しかし、ウォルシュティン遥かなり。いつかもう一度リベンジしなくては。 |
・朝食一人っきり。もしかして、宿泊者1名?そんなに高いわけではないし、非常にいい宿なのにもったいない…。ということで、朝食バイキングは、品数も少なく、ヨーロッパオーソドックスな冷たいもの主体。とはいえ、一品一品のレベルは高い。 ・Lonely planetによると、ホテルからそれほど遠くない場所にトルン市街地(Torun Miasto)駅があり、ポズナン行きの快速にはここからでも乗れるよう。ということで駅に行ってみたところ、案の定OK。ついでにトルン→ポズナン間の切符を買っておく。これで、今回の旅程に関する切符は全て購入済みとなった。これらの切符を使いきれば、神戸まで帰れる。 ・街の外周を流れるヴィスワ川を散歩。のんびり流れる川と時間。川を使って琥珀が運ばれた時も、共産主義国家だった時も、今も、これからもおんなじようにこの川は流れているんだろうな。老人も、若い女の子たちも、同じように川を見ていた。 ・門から市街へと入る。聖ヨハネ教会は入場有料。そのため誰も入ってこず、ゆっくりとした時間を過ごすことができた。地球の歩き方には「内部はゴシック風、ルネッサンス風、バロック風、ロココ風と多種多様な美しい装飾が施されている」とあるが、それぞれが決して光り輝いておらず、古ぼけており、「昔は華やかだったんだろうなあ」という感じである。ただ、それが逆に居心地よい。そして、薄暗い聖堂の一番奥には、古ぼけてみじめなイエスキリストの像。豪華な周辺の装飾とは全く違う。遠藤周作も書いているが、キリスト教というのは逆転の発想を提示するところがある。いや、宗教というのはそもそも日常の常識を否定し、新しい価値を提示するものなのかも。とはいえ、オウム真理教のようになっては困るし…などと、かなり長い時間、この聖堂の中で宗教について思いを巡らす。個人旅行ならではのこんな時間もいいよね。 ・そろそろ戻ろうと後ろの壁を見上げてみれば、そこにはまるで落書きのように白と黒で描かれた、祈る男の絵が。周囲の派手目な装飾とは明らかに異なるその絵柄。なぜ、あえてあんな風に描いたいるのだろうか。どういう意図でああ描き、それをどんな思いで人々が残してきたのだろうか。そして、彼はこの街の、この国の、そしてこの世界の移り変わりをどう見詰めてきたのだろうか…。 ・コペルニクス博物館月曜休み。旧市庁舎の博物館も東洋美術館も月曜休み。なんで事前に気がつかなかったんだろう…。 ・旧市庁舎の塔だけは無休のため、チケットを買って登る。しかし、だれも登ってこず、私ひとり。一番上は絶景でよいのだが、日本と違って手すりなどはあまりなく、簡単に落ちそうな構造。一人も怖いが、知らない人と二人っきりとかも怖かっただろうなあ。途中で鐘が鳴りだし、相当びっくりする。 ・聖マリア教会では1944年に亡くなった人を顕彰していた。軍人風。ヨハネパウロ2世も彼について何か語った様子。素直に人を顕彰しない日本ってちょっと残念な半面、逆にその冷静さもまた、日本の良さかなと思ったりする。海外に来ると、日本のことをよく考えることができる。 ・アイスクリーム(シェリー・グレープフルーツ)が激うま。本当にレベルが高い。初老の男性一人でも、お買い物に来たようなおばさんも、若い学生さんたちも、本当にみんなアイスクリームを食べている。ポーランドの国民食はアイスクリームに決定。 ・外観は古い伝統的な建物になっているが、内部は近代的なショッピングセンターになっている建物を発見。なるほど、こうやって景観と実用を両立させているわけか。 ・有料トイレを使用。有料トイレというのはそれほどの値段でないにもかかわらず、当然きれい。そして安全。管理人さんの趣味もあるのか、花が飾ってあったりお線香やお香が焚かれていたりもして、結構面白い。こういうシステムもありかもしれない。 ・トルンの日本語ガイドブックを9ズロチで購入。結構マイナーな観光地も書いてあり、これを見ながら斜塔などを回る。なかなか役に立った。 ・昨日の晩ご飯があまりにも美味しかったことから、多少ぜいたくながら、お昼もホテル1231で。今回はマッシュルームとザリガニのスープが絶品。ポーランド料理は本当に心にしみるおいしさがある。もっと食べたい! ・トルンからポズナンまでは快速電車の旅。1ボックスに1〜2人座っている程度の混み具合。北海道のような風景の中を、のんびりのんびりと電車が行く。ポズナン中央駅では無事、荷物もコインロッカーに預け、SLの切符も購入し、何の問題も無かった。 ・今回のメーンイベントの一つ、ポーランドの定期運行SLに乗車!。写真をとっていたら、機関車の運転席にのせてくれた。「日本人?」と聞かれたのでそうだと答える。現地の人でも写真をとっている人が結構おり、やはり鉄道趣味というのは世界共通だなあと、感慨深い。客車はごく普通のもの。乗客も8割方が(SL目当てではない)普通の通勤客の様子。本当に日常に根づいたSLというのが良く分かる。 ・乗っていると石炭の匂いがするだけではなく、細かいカスがどんどん席に降ってくる。さすが、本物のSL。とんでもない状況だが、それも楽しい!快調・快調ということで進んでいたのだが、途中のGranowo Nowotomyski駅で突然大きな音とともに急停車。その後全然動かず、乗客がざわざわし始める。車内放送も入らず、SLまで様子を見に行ったところ、先ほどはニコニコしていたSLの運転士さんたちが地面に座り込み、必死に修理をしている。どうもSLが故障したらしい。最初は「こんなアクシデントなんて滅多にないよな」とむしろ楽しんでいたのだが、思いのほかなかなか直らない。今日はこの列車の終点(ウォルシュティン駅)から、普通列車でポズナンへトンボ帰りの予定。もしポズナンに戻れなかったらどうしよう…と徐々に不安になる。 ・30分以上かけてなんとか修理も終わり、恐る恐る運行再開。何とか大丈夫なようで、徐々にスピードも上がってきて、ひとまずは安心。とはいえ、ウォルシュティン駅での折り返しの時間はジャスト30分。ここで、終点のウォルシュティンまで行ってから逆方向のポズナン行きに飛び乗るか、あるいはどこか手前の駅で折り返すかの選択を迫られる。線路がずっと単線であれば追い抜かれることはないがその保証もないし、最後の最後にウォルシュティン駅で戻りの列車に飛び乗れない可能性がある。一方、途中駅で折り返す場合は、ポズナン行きの列車を捕まえるのは可能だろうが、全く予備知識のない駅・普通外国人が降りることはない駅・まず英語は通じないであろう駅に降り立つことになるので、それはそれでリスクがある。楽しいSLの旅が一転、かなり悩ましい状況となってきた。 ・空港で買ったポーランド地図と時刻表を参考に、ある程度大きな町と思われたRakoniewiceで折り返すことに決断。日は完全に落ちてしまった中、全く予備知識のない駅に降り立つことになった。どうも街はかなり遠いいところにあるらしく、数人が下車したがみんな車でどこかに行ってしまった。駅に駅員はいるようであったが出ても来ず、ちゃんとした待合室もなくベンチがあるだけ。そして、途中でオレンジ色の電灯が付いたものの、周囲は漆黒に染まっていく。かすかに犬の遠吠えも聞こえてきたりして、この駅で30分以上過ごすのは、男性とはいえ何とも心細かった。無事、ウォルシュティン方面からポズナン行きの電車がやってきたときには、まさに「救われた」との感覚。 ・そんなわけで、無事ポズナン駅に帰還。24時間営業のケンタッキーでお食事。ケンタッキーはなぜかノーマルがなく、ホットばかりが売れていた(ノーマルを頼んだら、今はないと言われた)。国民性なのだろうか。ともあれ、これからは久しぶりの海外夜行列車の旅、いったいどうなるんでしょう…。 今日の泊まりは快速列車(D83200)内
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・トルン→ポズナン(2等車) 25ズロチ ・聖ヨハネ教会聖堂 3ズロチ ・旧市庁舎の塔 10ズロチ ・アイスクリーム(2ピース) 4ズロチ ・トルンTシャツ 20ズロチ ・トルン観光案内+マグネット 19ズロチ |
・旧市庁舎の有料トイレ 1ズロチ ・トルン市街地駅でミネラルウォーター 3ズロチ ・コインロッカー 8ズロチ ・ポズナン←(往復)→ウォルシュティン 28ズロチ ・ポズナン→クラクフを2等→1等に変更 27ズロチ ・ケンタッキーのセット 19ズロチ |
合計 167ズロチ のこり137ズロチ (別途、カードで54ズロチ[昼食]) |