台北花博に行こう!台北花博 5つのワクワク 5つの不安〜観覧前の期待・懸念と、観覧後の感想〜 |
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今年(2010年)6月にこの「台北花博に行こう!」を立ち上げた際に、気になっていたことや期待を「5つのワクワク 5つの不安」としてまとめていました。さて、それが実際に行ってみてどうだったのか、どう変わったのか。ビフォーアフターで記録として残します。 (2010年6月掲載、11月感想追記) |
1 台湾初の国際博覧会!国家的プロジェクトの扱いです。 →国というイメージはあまりなかったかも。 |
(6月時点での期待) ご存じのとおり、台湾(中華民国)は複雑な事情を抱えた国。国際博覧会を開催するだけの実力を持った十分な先進国でありながら、国交を有する国が少なく、また様々な国際機関に加盟することも難しいため、これまで国際博覧会を誘致できませんでした。そんな中で、戦後初めて実現した国際博覧会。力が入らないわけはありません。 主催はあくまでも「台北市政府」ですが、現総統の馬英九氏はもと台北市長で台北花博誘致の立役者。台湾国家の全面的なバックアップのもと、これまでの花博とは多少違った規模・内容で開催されるのは間違いありません。 (11月観覧後の感想) 国家的行事として行われた上海万博に比べると、若干扱いは弱いのかなという気もしました。上海ほどに町中全てが博覧会モードになっているわけでもなく、テレビを見ていても記念番組が1日中流れていたりはしません。そのあたりは、全体主義的な国と成熟した民主主義国家の違いなのかもしれず、むしろ健全という気もします。あるいは、「国」があまり前面に出ないことが、台湾が台湾としてやっていく上での知恵なのかもしれません。 |
2 世界的大都市での開催!アクセスも抜群です。 →確かにアクセスはばっちりでした! |
(6月時点での期待) 開催されるのは台北というアジア屈指の世界都市。そして、会場は都市のほぼ中心部。MRT円山駅降りてすぐの場所に入口があり、アクセスは抜群です。もちろん上海万博も都心からのアクセスは良かったのですが、あれは強権的に大多数の住民や工場を立ち退かせて作った結果。民主国家・資本主義国家の台湾ではそんなことはさすがにできず、今回は既存の公園を会場にしています。(青少年公園を使った愛知万博と似ていますね。) 故宮博物館や士林夜市とも近く、市内観光+花博という楽しみ方も十分に可能。可能性が広がります。 (11月観覧後の感想) 私は花博会場近くに宿を取ったため、一番メインの「圓山ゲート」は使っていないのですが、見る限り、地下鉄(捷運)圓山駅とはまさに隣接していました。そして、そのゲートを下りてすぐにメインパビリオンとも言える「争艶館」があるなど、確かにアクセスはばっちりです。 私自身、2日目は、半日花博、いったんホテルに戻ってから、半日台北市内観光をしましたが、これも花博会場が町の中心街から近いからこそできたこと。既存の公園を活用したとはいえ、よくこれだけの場所を大都会の真ん中に確保できたものだなあと言わざるを得ません。 |
3 世界屈指の電脳国家・台湾!ハイテク技術が見ものかも。 →前面には出てませんが…。 |
あまり知られていませんが、世界のパソコンの約8割から9割は台湾または台湾企業が作っていると言われています。特に、パソコンの内部にある「マザーボード」は、そのほとんどが台湾製。あなたがこのページを読んでいるパソコンの中にも、かなりの割合で台湾製の部品が使われているはずです。 そんな電脳国家で開かれる博覧会。基本は花や緑ですが、ハイテク技術が駆使されるはずです。事実、花博の3大理念の一番目は「園芸、ハイテク、環境保護に関する技術の結集」。どんなハイテクで驚かせてくれるのか、実に楽しみです。 (11月観覧後の感想) ハイテクを前面に打ち出しているのは夢想館(本体)ぐらいで、3Dの真相館も普通の3D映画でしたし、予約システムもボタンを押して紙が出てくるだけのもの。まあ花博のテーマは自然や環境保護がメインですから、あまりテクノロジーばかり見せても仕方ないというのもあるのでしょうし、台湾のテクノロジーの高さはあらためて外に対して誇らなくても周知の事実だから問題ないというのもあるかもしれません。 なお、夢想館(本体)だけは、台湾のPCメーカーなどが総出でハイテク仕様に作り上げられており、そういった観点からも見ごたえがあります。ここが超人気パビリオンになってしまったのも仕方ないかなあと。 |
4 日本語対応があるかも!公式で日本語が使われています。 →中・英・日の3ヶ国語表記がデフォ。 |
愛知万博の時にびっくりしたのが、中国語や韓国語対応がかなり一般的であったこと。「なるほどこういう時代なんだな」と思い、おそらく上海万博でも日本語対応が多少はあると思っていたのですが…ごく一部のパビリオンを除き、ほぼ皆無でした。やはり、中国人民の圧倒的な数の中では、いくら百万人の来場者が見込まれる日本人でも沈んでしまいます。 台北花博では公式文書にも日本語版があったり、公式ビデオも日本語で作っていたりと、上海に比べると日本語に好意的。もしかしたら、愛知万博程度には外国語対応があるのかな…と期待してしまいます。 (11月観覧後の感想) 想像通りというか、想像以上というか、台北花博は「中国語」「英語」「日本語」の3ヶ国語表記がデフォルトになっており、会場看板や会場マップはもとより、パビリオン内の解説でも3ヶ国語表記が基本のようです。とはいえ、あまり厳密には統一されていないようで、2ヶ国語表記になってしまっているところも結構あったり。ただ、日本人は漢字が読めますし、台湾で使われているのは大陸とは違い日本の旧字に近い「繁体字」ですから、たいていは分かってしまいます。 それよりも何よりも、会場内で日本語の分かる人の多いこと。中国語で話しかけ、通じていないことが分かると、「日本人だろう」と思うのか、片言ながらも日本語で語りかけてくれるのです。それがインフォメーションのみならず、ボランティアさんやアテンダントさん、食べ物屋台の人までが、みんなそう。それは本当に驚き&ありがたいことでした。 |
5 日本人と近い感覚の台湾人が作るEXPO!しみじみとした感動が味わえるかな。 →しみじみ感はあまりないかも。 |
台湾人はどこか日本人と似た感覚を持っているとよく言われます。私は台湾に行ったことも無く、実感がなかったのですが、先日、上海万博台湾館のテーマソングを知るに至り、これは確かに日本人に近い心象だ…と実感させられました。 上海万博も率直で壮大な夢が語られていてそれはそれで良かったのですが、やはり大陸的というかどこか大げさで、何度も繰り返して提示されると、多少疲れてしまうところがありました。今回はテーマが花や緑。それを調理するのは細やかな感性を持った台湾の人々。また違った感動を味わうことができるのではないかなと期待しているのです。 (11月観覧後の感想) CMはみんないい感じなのですが、しみじみ感を味わえたのは夢想劇場(特に、会場外に出たところ)ぐらいで、どちらかというと派手な演出が多かった気も。真相館のラストも、もうちょっと感動的に終わらせてくれればよかったのですが…。夢想館本体もまあまあいいかな。 個人的にはしみじみではないものの、舞蝶館の「白百合の恋」が一番良かったかな。ただ、これもしみじみというよりは、明らかに劇的な感動です。やはり屋外イベントでその場でしみじみ感を演出するのは難しいのかもしれませんね。 |
1 万博ではなく園芸博。どこまで盛り上がるのかなあ…。 →お手軽感が盛り上がりの鍵かも。 |
日本で国際博覧会(いわゆる万博)と言われるのはBIE(博覧会国際事務局[本部パリ])が登録・認定した博覧会。日本ですと、大阪万博、沖縄海洋博、筑波科学博、愛知万博などが当たります。一方、国際園芸博覧会(いわゆる花博)はAIPH(国際園芸家協会[本部ハーグ])が認定したもので、淡路花博、浜名湖花博が当たります。大阪花博はこの両方に属したのです。 どちらが上ということはないものの、やはり園芸博はどこまで行っても園芸がメイン。人類文明の進歩などを取り扱う国際博覧会とは質的にも量的にも異なります。さて、どこまで盛り上がるのか、若干未知数なのです…。 (11月観覧後の感想) この花博、特に日曜日に感じたのですが、「安いし気軽に来てみようかなー」という地元の人が結構いたように思えます。入場料は300元(約1,200円)、午後からなら200元、夜なら150元とかなりお気軽(上海万博は1日券が160元(約2,000円))。上海万博のようにボディチェックもなく、MRTの駅からも至近。これは単に地元の人にとって行きやすいだけではなく、国内外の観光客にとっても「ちょっとのぞいてみようかなー」となるわけです。実際に私の両親は夕方からちょっとだけ覗きに行きました。 ということで、大上段に身構えない形ではあるもの、密かに盛り上がっていきそうな予感が非常にしているのです。 |
2 やはり複雑な国際環境。国際博覧会になるのかなあ…。 →公式出展はやはり少ないかも。 |
台湾の最大の問題は、やはり「一つの中国」問題。それはこの台北花博にも影を落としているようで、どうも公式出展、特に国家からの公式出展は非常に限られそうです。日本からの出展も基礎自治体や民間団体、個人レベルしか見当たりません。 さらに気になるのが、開催直前まで上海で史上最高規模の万博が開催されていること。欧米から見れば、上海と台北などというのは、どちらも地球の裏側で目と鼻の先。どちらか一方に出ればそれで十分と思ってしまうであろうことは容易に想像できます。それほど国際色は期待できないのかなと思わなくもないのです…。 (11月観覧後の感想) 確かに世界各国からの公式出展というのは少ない気もしました。たとえば花博であっても、中国昆明やタイ・チェンマイなどには、日本の自治体も公式出展しているんですよね。しかし今回は、公的団体というよりは民間団体がメインの様子。やはり、そのあたりはしんどかったのかなと。密かに、台湾側が全額負担して作っている各国庭園もあるようですし…。このあたり、複雑な国際環境をどうしても感じずにはいられなかったところも、確かにありました。 とはいえ、日本という異国から見に行っている立場としては、あまり国際色が豊かでも仕方ない部分もあり。それ以外の部分で十分楽しめる台北花博なのです。 |
3 既存施設を多数転用。上海のような派手さはないのかなあ…。 →むしろ会場配置に難あり。 |
台北花博は、もともと児童センターや美術館などがあった公園を会場として行われる博覧会。立派な既存施設が数多くあることから、極力それを使った会場設定になっているようです。(このあたりも愛知万博と非常に似ています。)それはそれでエコでよいのですが、やはり博覧会というのはお祭り。上海万博のようなお祭り的な華やかさには欠ける気がしなくもないのです。 そして、台北花博には上海万博の中国政府館や大阪万博の太陽の塔、淡路花博の淡路夢舞台のようなモニュメント的施設も見当たりません。園芸博なので花はあるのでしょうが、ちょっとさみしい会場なのかもしれないのです…。 (11月観覧後の感想) 既存施設の転用は、それなりに改修して使っているのであまり気にはなりませんでした。うまいことやっているなあという建物もいくつか。むしろ既存施設転用の一番の問題は会場配置。凸凹が著しい上、会場間の連絡が悪いのです。特に一番問題と感じたのが、一旦会場外扱いになる美術館。民主主義国家で難しいのは分かりますが、せめて会期中は休館扱いにするとか、何か方法はなかったのかなあと思わざるを得ません。 台北花博の代表的モニュメントは、会場外ですが、やはり「圓山大飯店」なんでしょうね。私のタイトルページにも入れましたが、開幕日の新聞各紙も圓山大飯店の入った写真(新生ゲートor新生三館屋上から撮影)を掲載しているところが大多数でした。まあ、借景というのも、大切な中国・日本の庭園文化ではあります。 あと、台北花博の代表的なモニュメントとしては、飛行機かな(笑)。 |
4 博覧会では珍しい冬開催。さすがに1月・2月は寒くないのかなあ…。 →1月に確認してきます。 |
台湾・台北は南国とはいえ、冬は10度を下回る日もあるとか。園芸博覧会という性質上、庭園や花壇など屋外ものがどうしても多くなると思うのですが、大丈夫なのでしょうか。会場案内図を見ても、意外と屋内スペースはない模様。 まあ、盛夏で人がバタバタ倒れられるよりはましだし、春節という中華系社会での大きなお休みを含んでいるし、冬に欧米系のツーリストが多く訪れていたタイがあんな状態だし、さほどの問題はないのかもしれません。ただ、なんとなく上海万博と同じ2010年に国際博覧会を開かなければならないという政治的対抗意識が見え隠れしなくもないのです…。 (11月観覧後の感想) 11月はまだまだ暖かかったので、良く分かりません。1月1日訪問時に確認してきますね。 しかし、お土産屋さんで売られている衣料品は、半袖のTシャツとポロシャツ。さすがに寒いだろうと。1月に行ったらジャンパーとかマフラーとかが売っていたりして。 |
5 日本での情報がほとんどなし。最後まで分からないままの出発になるのかなあ…。 →いまだに少ないですね…。 |
上海万博開幕中ということもあり、日本中の旅行会社(&博覧会愛好者)の目は当然、上海に集まっています。台北花博の会期は上海万博終了後(-2010.10.31)とはいえ、今のところ、マスコミ・旅行会社とも台北花博があることすら認識していないがごとしです。再来年の2012年には韓国の麗水で万博(これはBIEの認定博)があり、端境期になってしまう可能性もあります。 台湾発の日本語情報が意外としっかりしてそうなので大丈夫かとは思うのですが、チケットなどは現地でしか入手できない模様。もうちょっと様子を見ますが、あまり情報のないまま現地入りの可能性も高そうなのです…。 (11月観覧後の感想) いまだに少ないですね…。Googleで「台北花博」と検索して、個人ページが一番上に出てくるようではダメです(苦笑)。 ただ、意外と頑張っているのが公式日本語ページで、密かにちょこちょことページが増えています。さらにページが増えていくことを期待しましょう。 (11/30追記:やはり公式外国語HPが簡単すぎるとの批判があって、頑張り始めているようです。) |